london eye county hall london eye pod


ロンドン・アイは、ビッグ・ベンで有名な国会議事堂のテムズ川の斜め向こう側の川の中に立つ大観覧車

数年前に最初の案が出たときは「エーッ、うっそ~! 一番ロンドンらしい威厳のあるとこに遊園地の観覧車? 景観ぶち壊しじゃん 」と酷評されたのですが出来てみたらすごい人気で、一躍ロンドンのナンバーワン観光アトラクションになりました。ロンドン中心には他に高い所から下を見下ろす建物がないですから。観覧料は確か11、2ポンドで所要時間30分。私も4、5回乗りましたが、それぞれのポッドはかなり大きくて、20人程入れるでしょうか、結婚式する人も結構いるようです。


きっと儲かっているんだと誰しも思いますよね。当然です。そこでロンドン・アイが建つ土地の持主がレント契約更新に際し値上げを要求してきました。50%増とかいうかわいいものではなく、びっくり仰天して耳を疑うほどすごい値上げでした。現行で年間65,000ポンドのところ、その地主は


お宅、ごっつう人気でぎょうさん儲かってはりそやないかい。そやから、こんどから2,500,000ポンド払うてもらうことにしましたよって、よろしゅー」と言ったのです。


65,000ポンド→ 2,500,000ポンドですよ。すごいでしょう? 計算機無かったら何倍なのかすらわかりません。・・ペチペチペチ・・おぉ38倍! で、ロンドン・アイ(英国航空が経営)は

冗談お言いやしたら嫌どすえ。そんなん払えるわけおまへんやないの」と言うと、地主は

ほなら出てってもらわんなりまへんな」ということになり、ロンドン中大騒ぎ。有名人たちがロンドン・アイを守ろうキャンペンーンを繰広げ、かしましいこと1週間。


実はロンドンは今2012年のオリンピック誘致に必死なのですが、一番のライバルとされるパリがこともあろうに「ロンドンがほうかるなら、パリに売ってちょ~。オリンピックの目玉にするでよう」と言ったんだそうで、怒ったのがロンドン市長のケン・リビングストン
「僕、ロンドンでオリンピックやりたーい!!」と全身で叫んでいる彼、これでキレました。地主の大将に電話で

「ざけんじゃねえ!! これ以上ガタガタ言いやがると、俺がだまっちゃいねえからな。俺の特別権限で強制売却ってことにできるんだぜ!  てめーは首洗って待ってろい! この大馬鹿野郎めが!」

と一喝。 これでケリチョン。


ken livingstone



きゃーっ、ケンさん、かっこいー!!

と、一躍アクション・ヒーローになりました。市長さんてパワフルなんですね~。そりゃ世界有数の大都市ロンドンの市長さんですもの、当然ご出勤は黒塗り運転手付きの高級車でボディガード付き、と思いますよね? でもね、ちがうんですよ、これが。なんと彼は一人で地下鉄で通ってるんです。私と同じ路線なので何度か同じ車両になったことありますもん。毎日地下鉄出勤かどうかは断言できませんが、庶民的な彼のこと、無駄な経費を削減し、市民と苦しみを分かち合うため(偶然ですが、今朝の地下鉄は信号故障で大混乱)、地下鉄にお乗りになるのでしょうか。靴なんかもピカピカではなく、本当に道を歩いていると思わせるようなくたびれ方。良く言えば信念の人、悪く言えば強硬な態度で色々問題も多いリビングストン氏ですが、ケンさん頑張って欲しいものです。オリンピック開催地決定ももうすぐです。多分パリに負けるんだろうけど。



えー、ところで、「ほれみや~、がめついこと言うでだわ~」と笑いものになってる地主というのは誰かと言いますってーと、これがサウス・バンク・センターという、コンサートホールとギャラリーを運営する公的機関で、50数年前にテムズ川の南岸を再開発して一大文化センターを作ったのです。ロイヤル・フェスティバル・ホール(大)、クリーン・エリザベス・ホール(中)、パーセル・ルーム(小)の3つのコンサート・ホールとハイワード・ギャラリーという臨時展示用のスペースでできています。


私はここに(主にロイヤル・フェスティバル・ホールですが)クラシック音楽を聞きに行くことが多いので、世界中の観光客からふんだくった観光客の方が払って下さった利益がコンサートホールのために使われることには個人的には大賛成で、ロンドン・アイのレント値上げ大いに結構だったのですけどね。あれほど理不尽ではなく、騒ぎにならないギリギリの程度にしておけばよかったのに。


ロンドンはクラシック音楽ファンにとってはおそらく世界一の天国で(オペラはニューヨークとミラノに負けますが)、一流の演奏家をたくさん来てくれるのですが、悲しいかな、音の良い大きなコンサートホールがないのです。ニューヨークのカーネギー・ホールのような音響の素晴らしい会場があったらいいのになあ、と音楽ファンは切望してます。




というわけで、無事一件落着。ロンドンにお越しの際は是非ご搭乗下さい。良い眺めですよ。

(ところで、名古屋弁は標準語訳が必要でしょうか?)