ニューヨークのメトロポリタンオペラハウス(以下略メト)の引越公演が日本であるそうです。

来年の夏のはなしですが、もう会員先行予約はじまっているようで、一般予約は秋に開始だそうです。


メトはなんといってもセットの豪華さが魅力。ヨーロッパ人から見ると、「工夫も創意もみられず金だけ掛けて設定に忠実なだけ。やっぱり歴史がなくて文化の浅い新参者はそんなもんどすなあ」と言われてますが、金銭面でのやっかみは入ってるわけで、でも絶対初心者には理想的な舞台なので、皆さん是非考慮してみて下さい。

問題のお値段ですが、S席で64,000円。これだけ見ると「ゲッ、ロ、ロクマンエン・・!!」と思うでしょうが、ニューヨークへ行くことを考えたら安いものではないでしょうか。だって時間も飛行機代もホテル代もセーブできるんですよ。ロンドンに住んでる私は休暇取って大西洋越してあの恐ろしいニューヨークに行かなきゃならないわけで、日本の皆様が羨ましいです。


http://www.japanarts.co.jp/html/MET2006/gaiyo.html


詳しくはこのサイトをご覧頂くとして(日本語です)、演目は3つ。


①ヴェルディの「椿姫」

ご存知、はじめてのオペラお勧め度満点の椿姫、映画監督でも知られるフランコ・ゼッフィレリの豪華なセットで更にお勧め度上昇。ヴィオレッタは米人のトップソプラノ、ルネ・フレミング。ねっとりと甘~い声が私は大好きです。恋人役のヴァルガスは有名な割には大したことないですが。父親役は名前が難しくて覚えられないロシアの銀髪男。銀髪といってもまだ若くて美男子。父親と息子の歌手の年齢がほとんど同じってことはよくあるし、たとえ逆になっても文句言っちゃいけません。オペラに役柄に相応しいルックスを求めるのはまちがいです。今回はヴィオレッタとお父様が40台半ばで同じ位。美男美女で恋人役ならぴったり。


traviata met

②ワーグナーの「ワルキューレ」

ドミンゴが出ます。5時間半ですが、彼は出ずっぱりではなくて、出番は主に第一幕なので、長いから会社終わってから途中から見ればいいやなんて思ったらだめですよ。もっともドミンゴを今のオペラ歌手として聴く価値はあまり無いので、それでも構いませんが。

この想像力不要のちゃんとしたまともなセット(見たことはないけどきっとそうだろう)は羨ましいです。ロイヤルオペラハウスのワルキューレは、当然へんてこりんなセットで、神々しい神がそのまま表を歩けるような格好してるので、ワグナー初心者の私には違和感ありすぎてちとしんどいの。


walkure


③モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」

女たらしのドン・ジョバンニ役に大した歌はないので、歌唱力よりも芝居と存在感が大事。さっき言ったことと矛盾するけど、ルックスが重要な要素です。このA.シュロットというバリトンは名前聞いたこともないけど、写真で見ると、ちょっと若すぎるけどイケメンだ。

でも新人の彼がお話にならないくらいひどくても、他の人たちは一流どころを揃えたから大丈夫。女性3人は上手でしかも皆美人。コジェナーは、ベルリンフィルの常任指揮者のイギリス人サイモン・ラトルが彼女のために奥さんまで捨てたこの写真の金髪美人です。下男役のR.パーペは長身ハンサムで低い声が魅力的。彼がドン・ジョバンニやればいいのに。でもこの下男役の方が、脇役だけど受けるアリアがあるのでやり甲斐あるかも。


magdalena

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私がひとつだけ行くとしたら、ドン・ジョバンニ(以下DG)ですね。DG役の若いバリトンに大きな不安はありますが、他の人たちがなかなかですから。しかし、ここまで揃えるのならDGも一流を出せばいいのに。例えばイギリス人のサイモン・キーンリーサイドはちょっと前にメトでやってなかったっけ? エレガントで素敵なDGですよ。

あ、そう言えば、サイモンは今年10月にベルギーのオペラハウスの引越公演でDGをやるんだったわ。

日本はあちこちから来てもらえてええじゃんねえ。


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実はもう一つすごい日本での引越公演があるんです。来年の6月のボローニャ歌劇なんですが、超人気テノール3人が揃い踏み。こちらは別の日に改めて書きま~す。