ご存知でしょうが、今日再び同時爆弾騒ぎがありました。

7月7日の同時テロからちょうど2週間、今日はラッシュアワーではなくお昼だったので影響を受けた人の数は少なかったのですが、あの日と同じ地下鉄3件とバスで1件、うんと小規模な爆発或いは不発弾がありました。


この時点でまだ警察は何も発表しておらず憶測の域を出ていないし、日本でこれをお読みの方は明日(金曜日)の報道で今わかっているより詳しいニュースはお知りになれるでしょうからそれを見て頂くことにして、ここでは私の個人的な体験と意見を書くことにします。


実はちょうど「あれからの2週間」について書こうかなあと考えていたところでした。



あれから2週間、毎日あちこちで security alert が無数にあり、度重なる地下鉄閉鎖と道路封鎖が当たり前になっているので、私も何度か巻き込まれましたが、深刻には恐れず「また誰かが極端に不必要に怖がって通報したせいで迷惑をこうむった」くらいに思っていました。これはこの2週間だけではなく、NY911以来2年間、ちょくちょくあったことです。この2週間は勿論回数がずっと多かったですが。


しかし、最初は時限爆弾と思われていたのが英国で生まれ育った若者による自爆テロとわかったときには誰もが少なからずショックを受けました。中東やパキスタンなどでは西洋の様子が歪めて伝えられているにちがいないので誤解もされるだろうけど、イスラム教徒との共存もうまくいっている筈のイギリスで育った者が、しかもテロ犯人のうち二人はまだ小さな子供までいるのに、そこまで洗脳されて自爆テロまで実行するのは信じ難いわけです。

そして、誰でもそうでしょうが、私も地下鉄の中でリュックサックを持っている浅黒い肌の人を見かけると、「まさか・・。でももしかしたら・・。そわそわするとか少しでも不審な気配が見えたらすぐ離れなくては」とつい見つめたりしてしまいました。


その後の捜査や監視カメラに記録された行動や態度から判断して、彼らは自爆するつもりはなく、時限爆弾だと騙されて殺されたのではないかという説も出てきて、「そうだよね」とある意味胸を撫で下ろした感もあった矢先の今日の出来事でした。


今日の昼頃に地下鉄から煙が出たとかバスで小さな爆発があったらしいというニュースを聞いたときは、これはさすがに本当に何かあったのかなと思わざると得ませんでしたが、驚きはしませんでした。あれで終わりだとは思えませんから、覚悟してました。


そして、7月7日ほどではありませんが、オフィス内に緊張感が漂い、すみやかに職員の安全確認を行い、管轄の警察の指示によって外出禁止令が出たので、それは2時ごろだったですが、退社時間までには解除になって一時は全線ストップになった地下鉄も運転再開になるといいがと願ってました。後で聞いたらホテルや車の手配もしたそうです。


1時間もしないうちに警察からは外に出てよいという連絡があったようです。そして4時頃、仕事に差し支えなければ早く帰宅してもよいとの許可が出ました。その頃には徐々に地下鉄も動き出していたので、私はインターネットでそれをチェックしつつ溜まった仕事を片付け、結局退社したのは6時20分過ぎ。地下鉄のどの線がストップしたり遅れているかは更に続くsecurity alertによってめまぐるしく変わったようですが、私が乗ったときはラッキーなことに私が必要な線だけが普段通りスムーズに動いていました。早く帰宅した人が多かったのでしょう、いつもよりかなり空いていました。


同じテロ組織による再度の挑戦なのか、或いはcopycatの仕業か・・これから徐々に判明してくるのでしょうが、私は引き続き地下鉄を使わざるを得ないので、余程運が悪くなければ災難にはあわないだろうと信じて働きに行きます。

万一に備えてできることはすでに実行していて、歩いて帰宅せねばならない場合のためにいつも運動靴を履いて地図を持って出勤してます。会社から家まで、歩いて7時間くらいでしょうか?


我が家でロンドン都心に行くのは幸い私だけなので、家族の心配をしなくてもいいのは気が楽です。もっとも今日はトーチャンはオニーサンとこにアルバイトに行っていたのですが。でもこれもこれまで通り続けるそうです。

例え私は運悪く爆破で死んでしまっても、まあこの年まで生きて来てそこそこ楽しんだし、子供も大きくなって私がいなくなってもちゃんと生きていけるし私のことも覚えていてくれるだろうというところまで人生の中で来たわけで、これからは一日一日を大事に楽しむことにしましょう。

すでに2週間前はかなりのニアミスを逃れたわけで、あのときプラットフォームに着いた地下鉄の順番がひとつでもちがっていたら(二つの方向から来るのです)、私の乗っていた列車だったかもしれないので(時間からするとそうなのです)、ああよかったとしみじみ感謝しています。


もちろん皆怒りを感じているし、当然恐いです。でも、平常心を失わず、イスラム教徒を恨まず、幸いイスラム教の多数のグループもテロを非難して更に協力共存する声明を出しているし、行事もキャンセルせず生活態度も変えず、テロに屈せず、を再確認しているロンドンです。

私は今回の一連の出来事で、ロンドンがますます好きになりました。