ロンドンに住む私たちにとってはクレージーな酷暑の中、8月17日と18日に二日続けて愛知万博に行った。この為にいつもは避けてる日本の夏に敢て来たわけで、やるのやらないのと言ってるときから注目していた万博、すごい人出で大変だと聞いていても行かなきゃね。


人気のパビリオンは予約しなくちゃ駄目だということは勿論知ってた。でも7月の中旬はただでさえ仕事が一番忙しい時期なのに、テロ発生で予定が狂って余裕なかった。それでも一応トライと思ってサイトを覗いてみたら、「よくあるQ&A]というところに、Q「ちっともアクセスできんぎゃ~!」、A「混んどるで気長に何度もアクセスしてちょ~。でもトライした方のほとんどが予約取れ~せんよ」なんて書いてあったので即メゲた。それに時差の関係で私は真夜中にやらなくちゃいけなかったわけで、無理無理。

今思えばトーチャンに任せればよかったのかも。英語でもできるでしょ、きっと? できるかどうか調べる暇もなかったけど。


というわけで、予約なしで行くとどうなるかというと、皆さんよくご存知のように「数時間並ぶ」しかないじゃない? ま、日本人にはそれが当たり前だし、それだからこそ有難味も増すというところもあるし、それもお祭り気分の楽しみの一つですらある。(実際、1970年の大阪万博では4時間待ちで見た月の石、思い出になってるのは並んだという事実の方だ)。 だから私もそうすればいいと思ってた。本でも読んでりゃすぐでしょ?

でもうトーチャンにはそれは信じられないことで、「20分以上並んで待つのは嫌だ」と宣言。ずっと前にディズニーで結構長く待ったことあったけど、あれで懲りたんだろうか。


だから万博に丸二日間いても、皆さんがご存知のものは何ひとつ見てない! こんな遠くからわざわざ行ったのにさ!


じゃあ何してたんだと、行ってない方は不思議に思うでしょうが、見るものやる事はたくさんあるのよ。会場はすごく広いし、パビリオンだけでも70以上もある。企業パビリオンとか日本館というマスコミに出てくるものは外から眺めるだけで全てパスすると、行き先は各国パビリオン。万国博覧会というコンセプトに一番合うといえば合う。

小さな国はほとんど「ただのお土産屋さん」であるところも多くて、圧倒的に多いのがアクセサリーの類。ネックレスやブレスレット、スカーフの問屋だと思えば、豊富な品揃えで素晴らしい。バッグとかもたくさんあって、あれだけ一度に見るとちがいもよくわかって女性には楽しいよ。中で私が見惚れたのはイラン館のカーペット。あれだけ細かく手の込んだものは滅多に見る機会がないと思うほど芸術品のペルシャ・カーペットがあった。どうせ買わないんだから、お値段は高い方が印象的。これって着物も同じね。

韓国館、ドイツ館、フランス館は待ち時間が長かったので無視したけど、それ以外の国パビリオンにはほとんど入って、二日間で46館を訪問。中には入って出るまでに1分しか掛からないところもあったけど。

「うちはお土産屋」と明らかな小国パビリオンは別にして、一応何か展示しようという気概を感じる中で最低だったのがボスニア・ヘルツゴヴィナ。写真パネルが3枚掲げてあっただけ。

下から2位はイギリスだな。小難しいコンセプトの庭がいくつかと、子供だましの機械だけで、結構広いのにエアコンで涼むための椅子すら置いてない。この会場内にはいくつか見事な庭もあるので、そんところにチンケなイングリッシュガーデンなんか持って来るのはアホや。


実はイギリス政府は最初参加はしないと決めたんだそうだ。お金の無駄だからって。でもそれじゃあ在英日本大使の面目丸つぶれだってんで、必死でスポンサーを探し、国のお金は一切使わないからということでやっと参加にこぎつけたらしい。という裏話を実際に回った人のスピーチで聞いた。万博応援のためと称する「愛知の会」というのをロンドンで大使ご列席で3回くらいやったときに。

だから最初からあまり気合が入っているとは言えなくて、それなら結果があれでも仕方ないかって思った。


逆に一番よかったのはイタリアということで我が家全員の意見が一致。目玉は「踊るサチュロス像」。7年前にシチリア沖で漁船に発見されたという紀元前のブロンズ像で、等身大の若い男性の躍動する姿が美しい。長い間海底で眠っていた2千年前以上前の芸術品にロマンを感じるし。

国外不出の貴重品をイタリア政府が今回特別に出品して下さってそうで、今後は見たかったらイタリアに来いってことのようです。この館だけは傘を持って入ってはいけないと言われたけど、これで壊す人がいたら大変だもんね(晴天でも傘を持ってる人は多くて、私も日傘代わりにいつも持って歩いてた)。

イタリア館内は全てがセンス良くまとまっていて洒落た雰囲気。ダサいイギリス館とはえらいちがい。ホワイトチョコレートを塗りたくった自動車というのもあり、万博のコンセプトからは外れてるだろうけど、おおっとつい写真撮りたくなる。二階にはおそろしくまともなカフェがあり、とても臨時掘立小屋の中とは思えない豪華で本物っぽい設えの中で、高いけど美味しいコーヒーとケーキを。

食べる処はたくさんあって、普段食べられない珍しいものを売ってるので何にしようか迷うほど。カレーっぽいものを食べてる人が多かったけど、そういうのはロンドンで食べられるので、私たちは衣付きのフランクフルトとかお団子、たこ焼きという日本食を中心に食べて、私の夕食は名古屋名物きしめん。これは名古屋でしか食べられないじゃん。この会場は日が暮れるととても涼しいので熱いきしめんを戸外で食べても大丈夫だった。

会場もリニモもすごい人出でうんざりだったけど、一応行ったということで、話題のものが見られなかったのは口惜しいものの、まあ仕方ないわねってとこでしょうか。近くに住んでいたら通し入場券買って何度も行く価値は充分あると思うけどね。