今日夕方BBCで最近のロイヤルオペラハウスの「フィガロの結婚」をやってました。

生舞台を2回観ましたが、テレビ鑑賞も全然ちがう面がわかっていいものですね。顔の表情やセットの細かいところもよく見えて、特に知恵比べがテーマのこのオペラ、優位に立ったり負けそうになったりコロコロ状況が変わるので、喜怒哀楽表現がとても大切です。生舞台ではそこまで見えないし、それに字幕と一緒に顔が見えるのもやっぱり便利。3度目でもとても楽しめました。この日のパフォーマンスは初めて観るのですが全員出来も上々。


偶然にも今朝衛星テレビArtsworldで2004年のテアトル・シャンゼリゼの「フィガロの結婚」も観ました。正味3時間の長い同じオペラを一日に2回観たのですが、次から次へと出てくるモーツァルトの素敵なアリアで全然退屈しないどころか、比較を楽しむこともできたわけで、おまけをもらった気分です。


しょっちゅう行ってるROHを「うち」、行ったこともないテアトロ・シャンゼリゼの方を「あちら」と呼ばせてもらうことにして、勝負させましょう。さあ、はっけよい残った残った~! (あらすじとかはここをクリック


クマ

1月と2月に観たときの記事にも書いてますが、ROHはバリトン二人がとてもよかったので、フィガロと伯爵はぶっちぎりで当然うちの勝ち。横綱と小結くらいの差。歌も演技も一部の隙のないベテランのカナダ人ジェラルド・フィンリーはテレビでじっくり観るとまたその上手さが際だつし、ウルグアイ人のアーウィン・シュロットはフィンリーと対照的な若くて魅力的で精悍なフィガロ。この二人を負かせる人は滅多にいないでしょうが、

あちらの伯爵はPietro Spagnoli、フィガロはLuca Pisaroni。私は聞いたことないし、二人ともヘナヘナとパワーのないバリトンです。


ネコ

伯爵夫人は双方ともドイツ人。うちのドロテア・レシュマンの方があちらのAnnette Daschより知名度は高いと思いますが、どちらも品があって声にも聞惚れました。外見はあちらに軍配。二重顎のレシュマンは危ないほど太ってきて、「こんな妻なら夫が浮気したいと思っても当然だわな~」と思うのに対し、あちらはすらっと若い美人なので、「こんな美人の奥さんがいても男は浮気したがるものなんだ~」と思うでしょうね(なんだ、どっちにしても浮気願望認めるのね)。この長身の若い美人は絶対なにかで見たことあるのですが、どうしても思い出せませんでした。写真も見つからないの。


ウサギ

スザンナはどうでしょうか?うちのMiah Perssonは今回のROHの主役4人の中では一番劣るのですが、この頭の回転の早いキャピキャピ女中は芝居的に結構難しい役なのだと思います。あちらはイギリス人のローズマリー・ジョシュア。ENOの「セミレ」(ヘンデル)ではセクシーな下着姿でセンセーションを起こした彼女、最近どうしてるのかと思ったらこんなところに出てたんですね。映画「The English Patient」のKristin Scott Thomasに似た美人のジョシュアはなんだかすっかり痩せてしまって魅力も萎んでしまったようで、ダイエットに励んでいる私にはちょっとショック。これでは溌剌としたスザンナは無理です。ジョシュアの声の方が好みなのであちらの勝ちかな?(セミレ役でイギリスでは権威あるローレンス・オリヴィエ賞も取ったので、セクシーなだけが評判だったわけではありません)


Joshua  あちらのスザンナ、ローズマリー


ブタ

ケルビーノは歌手の名前見ただけでうちの負け! だってあちらはアンジェリカ・キルシュラーガーが出てくるんだもん。少年らしい身のこなしという点ではうちのRinat Schhamtの方がそれらしくていいんですけどね。実際今やズボン役の究極とも言えるRシュトラウスの「バラの騎士」のオクタヴィアンに出世したアンジェリカは若僧ケルビーノには立派過ぎて、勿論メチャ上手で素敵なのですが、10年差し引かないとそぐわないような。負け惜しみですけどね。


Angerika  あちらのケルビーノ、スター歌手のアンジェリカ


カメ

おまけとして、音楽教師のドン・バジリオ、うちはイギリスの一流テノール、フィリップ・ラングリッジを出しましたからね。カメオ的にたっぷり遊んで観客も大喜び。どうだ羨ましいだろう?!


ペンギン

うちの指揮者はROHの音楽監督御大アントニオ・パッパーノ、あちらは元カウンターテノールのルネ・ヤコブ。テレビではオケの音のちがいまでよくわからないので、二人とも著名な指揮者ということで引き分けにしときます。


家
衣装はどっちも遊びはないけど洒落てて互角。だけど舞台セットは私の趣味で独断するとあちらの勝ち。うちのはまともすぎてつまんないですもん。



音譜


総合点では、身内贔屓を差し引いてもうちの勝ちですね。バリトン二人の差があまりにも大き過ぎたのが決定的。これでスザンナがメト版のチェチリア・バルトリか古い映像当時ミレッラ・フレーニだったら文句ないですが、それは夢のまた夢。