今日は女王陛下の80歳のお誕生日。
(彼女が国家元首の他の国では毎年祝日のところもあるというのに(どこかの国は死んだ天皇陛下のお誕生日までそのまま祝日のままだし)、イギリスでは普通の日なんですよ!プンプン)
ともあれ、
今日の女王様はとてもお幸せそうでした
お昼頃にウィンザー城の外で45分間のwalkabout
フィリップ殿下は6月で85歳。お二人揃ってとてもお元気。来年は結婚60年のダイアモンド記念。
夜はKew Palaceで家族親戚と正装ディナー。その前に花火もありました。花火をご覧の女王様、少しウルウルなさっていたように見えました。
即位して54年、私がイギリスに来てもうすぐ27年ですから、女王様としての半分を見守ってきたわけですが、彼女はまさに模範君主。冷静沈着にして、いつもにこやかにハードスケジュールな公務をこなす責任感。21歳のときの有名なスピーチ「一生国のために奉仕します」の言葉通り、献身的に義務を果たしてこられたことはご立派の一言。
国王の次男の長女として産まれた彼女は、将来は国王の姪として多少の公務はあるものの公爵夫人にでもなって気楽な人生が送れる筈だったのに、叔父さんであるエドワード8世が離婚暦のあるアメリカ女に引っ掛かってあんなことになり、とんだ災難で大変なおはちが回ってきたわけですが、それも運命と受け止めて、僅か25歳で即位して以来お国のために滅私奉公されてきたのです。
54年間の在位の間に大英帝国は衰退し大国としての権威は著しく減少、イギリスにとって時代は激変しました。さらに妹マーガレット王女の男性スキャンダルと離婚、子供たちの結婚と離婚と不倫騒動という相次ぐ身内の不祥事もありました。それに伴い世間の倫理感も変わり、ついにはまさかと思われたチャールズ皇太子の再婚も実現して、昔ながら伝統を重んじて変化には抵抗を示した彼女も妥協して変わらざるを得ない場面もありました。
ダイアナ妃に対する冷たい仕打ちは非難され、とくに彼女が事故死したときの態度に国民は怒り、テレビの生中継でダイアナ妃追悼のスピーチをするまであやうい状態でした。しかし、状況から落としどころ判断して、折れるべきところではプライドを捨てて妥協するところが彼女の優れた点でもあります。
2002年の在位50年の式典での熱狂的な支持が示す通り、国民の大半は王室存続に賛成してますが、そこは現実的なイギリス人のこと、今は利用価値があるからそうしているだけで(①王室は重要な観光資源、②伝統と継続の継承者、②式典やチャリティの表看板etc)、でもお金が掛かり過ぎるとちゃっかり王族から税金を徴収し始め、王室専用大型ヨットを廃止し(彼女が公に涙を見せた唯一のイベント!)、火事で被害を受けたウィンザーの修復費を捻出するためバッキンガム宮殿を有料一般公開させたりしてます。
80歳とは思えないほど心身共にお丈夫な女王様ですから、このまま末長く頑張って頂きたいものです。世界中の歴史からもわかる通り、王室の存続は君主の個人的な素質によるところが大きいのですから。しかし彼女が亡くなって代が変るとどうなるかわかりませんよ。王室はあれば便利なものですが、我慢してでもという程のものでもないと思う人が多いと思うので(私もです)。
オーストラリアなんて、すぐ共和国になって国旗も変わっちゃうよね、きっと。
(尚、このお誕生日祝いムードに便乗して、このまま一気に私めの誕生日になだれ込んでしまいたいと思っております。23日の日曜日です。)