6月19日の午後一時、セント・ポール寺院前の大階段で無料の邦楽コンサートがありました。(そう、結婚式でダイアナ妃がウェデイングドレスの長いトレインを引きずって昇ったあの階段です)


これは今やっているCity of London Festival の一環で、今年は日本特集なのです。金融街シティのあちこちで毎年この時期にあるのですが、ちょうどこの頃仕事が忙しいのとわざわざ行く価値のあるイベントはないので、会社の近くにも拘わらず今まで行ったことありませんでした。今年も多分ほとんどいけそうにないですが、この日のイベントは楽しみにしてました。



koto 4 石段にお座布団敷いて、チントンシャン♪



SOAS
(ソアーズ)と呼ばれるthe School of Oriental and African Studies(ロンドン大学東洋アフリカ学院)

の演奏グループで、琴、三味線、尺八、日本人と西洋人が半々くらいで20名程。


とても上手な日本人女性からまだ習い始めたばかりの西洋人まで、年齢も人種も実力もバラエティに富んだチームが、学部長の司会で一時間弱、着物姿(西洋人は浴衣)で日本の音楽を奏でてくれました。チーム結成して2年になるそうです。


koto 5 「わあ、こんなところでジャパニーズミュージック!サプライズだがね。」




聴衆は主にセント・ポール寺院を訪れた観光客で、こんなところで意外なイベントに出くわしてびっくりしながら立ったまま聴く人、階段に腰を下ろす人、喜んで写真を撮る人と様々でした。


幸い雨は降りそうで降りませんでしたが、風が強かったのと周りの交通の音でマイクを通してもよく聞こえなかったのは残念です。まあカンカン照りだと楽器が痛みますから、野外ではあれで好条件だったのしょうが。


koto 1 学生さんたちには緊張のビッグイベント



日本から一流の演奏家を呼んでちゃんとしたコンサートホールでやるのが理想でしょうが、こんな感じで気軽に無料でご披露するのもいいですね。「首振り3年」と言われるほど難しい尺八の上手な奏者がいなくて、尺八の良さが全く理解してもらえなかったのは残念ですが、見た目も音色も美しいお琴が強い印象を残したにちがいありません。


koto 6 華麗なギリシャ柱の大寺院を背景に




私は日本で小さいときからお琴をずっと習っていたので、このコンサートはあの頃の発表会のことを思い出させてくれました。ほぼ女性ばかり何百人かいた社中の素人演奏会は妬みやゴシップなど子供なりに気苦労したのですが、今となっては懐かしい思い出。


思い出だけではなく、昔よく弾いた「八千代獅子」を聞いたときには今だに自然と指が曲に合わせて動いたのには我ながら驚きました。たしか30年以上も前の師範試験の課題曲の一つでしたから。


koto 3 私には懐かしい光景



演奏終了後、リーダーの日本女性とお話するチャンスがあり、興味があればお仲間に入れて頂けるかもしれないとのこと。フルタイムの仕事で時間に余裕がないのでそれはちょっと無理かもしれませんが、実は日本から持って来たお琴も家にあり、子供が産まれる前にここで何度か人前で弾いたこともあるのです。


よくオペラハウスに着物で出掛けては注目を浴びて嬉しいのですが、そろそろ「まあキモノ着てる人がいるわ」と思われるだけでは芸がないかしらん、とちょっぴり思うこともあり、かといって今からお茶や踊りを習うのもなんだし、第一ここでは簡単にできないし・・。 (お茶は何年かやったけど、なーんにも覚えてない)


自分の意志で習い始めたわけでもなく、強い決意でずっとやり続けたわけでもなく、熱心に練習したわけでもないのですが、それでも5歳のときから20年ほど習ったお琴、大袈裟に言えばここで少しは日本文化紹介のお役に立てるかもしれないと思ったりもして。


こうなると又いつもの愚痴が出ちゃうわよね。「時間が足りない!仕事辞めたい!」って。


                                     (クリックで写真大きくなります)