6月30日、シティの教会での小川典子さんのピアノ・リサイタルに行きました。


今年は日本特集のCity of London Festival ですが、やはり日本企業のサポートなくしては成り立たないわけで、どっかから余った切符が回ってこないかなあ、と期待していたところ、前日になってお恵み頂戴しました。


4月24日に小川さんが演奏なさったカドガン・ホールの「日本の夕べ」的コンサート に続き、また小川さんの演奏を無料で聴けるわけで、ありがたいことでございます。(切符は自由席で12.5ポンド)


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St.Botolph'sというこじんまりと教会は、私の会社のすぐ近くにあり、その周りは何百回と歩いているのに、中に入るのは初めて。

たしか1999年のIRAテロ爆破で大きな被害を受けて、取り壊しの危機に面したこともありましたが、立派に修復されました。大通りに面しているので外の騒音が少々邪魔になり、コンサートには理想的とは言えませんが、内部は白くて新しくて美しい教会でした。


音譜プログラムは、全て日本となにがしら関連のある曲で、流暢な英語で小川さん自身が説明して下さいました。


  ・滝廉太郎  「メヌエット」 (日本人作曲家が初めて作ったピアノ独奏曲

          「Grudge」 (怨みという意味です

  ・ドビュッシー Images, Book 2 「金色の魚」 

日本の漆の鯉にインスピレーションを得て作った曲)

  ・藤倉大    「Returning」 (小川さんのための書き下ろしで、これが世界初演奏

  ・武満 徹 「Closed Eyes 1 & 2」

  ・プロコフィエフ 「ピアノソナタ 7番」

  ・ドビュッシー 月の光 (アンコール)


日本人作曲家の曲はどれも短いし優れた曲とはいい難いので(滝廉太郎は幼稚で、武満は武満、藤倉は前衛的過ぎ)、ハイライトはドビュッシーとプロコフィエフ。


圧巻は最後のプロコフィエフ。小川さんがbrutalと形容した通り、まるで獣がのた打ち回っているような野性的な曲。ほっそりとした小川さんですが、ものすごい迫力で、しかも正確にきっちり、とても立派な演奏でした。


4月のコンサートは協奏曲一曲だったので、たっぷり聴けるのは今日が初めてでしたが、ドビュッシーのナヨナヨ曲とプロコフィエフのガンガン曲の両方をこんなに上手に弾ける実力に感心しました。


長年イギリスのお住まいの小川さんは英語も流暢で、キュートなルックスも魅力的。全ての面で世界に通用するアーチストであることがよくわかりました。これからもイギリスをベースに頑張って頂きたいものです。


しかし、観客が少なかったのは残念です。空席もかなりあって2百人以下だったでしょうか。City of London Festivalの目玉コンサートの一つの筈ですが、このフェスティバル自体の存在意義がいまいちで、毎年内容は決して悪くないのですが、なんせクラシック音楽に関してロンドンは超一流のアーチストがどこかで連日演奏してくれるわけで、その中でここまで客を引っ張ってくるのは難しいことだと思います。


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         良い写真は撮れませんでしたが、黒い洒落たドレスの小川さんでした。



カクテルグラスビール 

6時に始まって休憩なしだったので、7時15分に終了しました。今日は着物ではないので(前日は深夜帰宅だったので準備できなくて)、その後一緒に行った人と近くのExchange Squreでドリンク。


広場にはテレビの大画面が設えてあり、W杯のイタリア対ウクライナ戦を観戦する人でぎっしり。そよ風が心地良いパーフェクトな夏の夕方、ピムスとワインを飲みながらお喋りして、ゆったり楽しく過ごしました。

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金曜の夜、雰囲気の盛り上がるシティの広場。向こうの屋根はLiverpool Street駅。


                                   (クリックで写真は全部拡大します)