10月26日、サドラーズ・ウェルズ劇場でバレエを観ました。

24日から5日間、2演目のバーミンガム・ロイヤル・バレエ団 のロンドン公演です。


バレエには滅多に行かない私がなぜ?、と不思議に思われるでしょうが、これには理由があって、今年京都で2度お会いしたake様のブログ で、さる方のお嬢様がジュリエットを踊られるということがわかったからです。お母様の佐久間さんとはそれをきっかけにメール交信が始まり、また一つ素晴らしいネット縁ができました。


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                         「火の鳥」の写真がロンドンでのポスター使われてます

佐久間奈緒 さん ← クリックで舞台写真が何枚か見られます


女の子 佐久間奈緒 さんは九州ご出身で、17歳からロイヤルバレエスクールに留学され、卒業と同時にバーミンガム・ロイヤル・バレエ(BRB)に入団、2002年にプリンシパルになられたという立派な経歴です。

BRBは、ロンドンのロイヤルバレエ団で活躍中の吉田都さんが以前いらした由緒あるバレエ団で、奈緒さんはちょうど吉田さんと入れ替わりだったそうです。

その吉田都さんは元ロイヤルバレエ団の熊川哲也さんのカンパニーに移って、もうすぐ日本に帰国してしまうので、奈緒さんが代りにロンドンに来て下さるといいなと思います。


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               この日のカーテンコール(クリックで拡大)


幸い前から3列目のど真ん中という良い席が買え(36ポンド)、最大限に楽しむことができました。

こちらは私が撮ったカーテンコールの写真ですが、奈緒さんがとても美しい方だということがおわかりでしょう(若い時のあべ静江さんに似てらっしゃると思うのですが・・・)。 (クリックすると拡大します)


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小柄で愛らしい奈緒さんは理想的なジュリエット。その上、踊りが実力はもちろんなのですが、演技力の素晴らしいこと!

私は近くの席だったのでよく見えたのですが(更に時々双眼鏡も使ったし)、最初まだほんの子供で人形と遊ぶ14歳のジュリエットが恋を知って段々大人の女性になっていく変化を体全身だけでなく、生き生きとした表情で見事に演じて、その表現力に感服しました。素晴らしい女優さんです。

バレエの有名なレパートリーの中では演技面が重視される「ロミオとジュリエット」、もう演技というよりは、本当に可憐なジュリエットが目の前にいるようでした。


話がちょっと反れますが、西洋人に比べると私たちはやはり顔が大きくてプロポーション的にはちょっと損していると思われているのですが、それも顔の表情がよく見えるという点では却って得ではないでしょうか。私は吉田都さんのファンですが、彼女のエラの張った顔は長所だと思います。


それに、私はずっとバレエは近くで観るべしと信じていて、実際うんと前の方に座れるときのみ観にいくのですが(だから滅多に行けない)、それは正しい見方だと再認識しました。遠くでバレエ観てる人、貴重なものを見落としてますよ。(もっとも、私はコンサートでも至近距離が好きですが)



それにつけても、観ている間中、私の想いはお母様に。

残念ながらお仕事の都合でロンドンまでいらっしゃれなかったのですが、娘さんのロンドンでの晴れ姿をご覧になることができたらどんなにお喜びになられたでしょうに。残念です。

代りにと言うのはおこがましいのですが、遠い異国で一人で芸術に打ち込んで頑張っていらっしゃる若い日本女性の姿を見て、私も胸が一杯になりました。


お母様、奈緒さんは本当に素晴らしかったですよ。幕間のロビーや終了後のバスの中で「彼女は素晴らしかった」と言い合う人たちもたくさんいました。


そして分野はちがえど私の娘もアートを目指しているわけで、彼女もいつか奈緒さんのように一流になってたくさんの人に賞賛されるようになったらどんなに母親冥利につきることかしら、と思いは飛躍したのでした。


男の子 この夜の主役は奈緒さんでしたが、ロミオ役のRobert Parker もルックスは完璧にどんぴしゃでした。端正だけどヤンチャな少年らしさを残した実にチャーミングな青年で、ストレートな金髪が可愛くて可愛くて!


彼の踊りは実のところ、ロンドンのロイヤルオペラハウスの主役級と比べると跳躍力とか劣るように見えましたが、奈緒さんとのコンビネーションはとてもよくて、サイズ的に相性がよくて小柄な奈緒さんを軽々と持ち上げることもできたというだけでなく、何よりもまるで本当に初々しい十代の少年少女が恋に落ちて離れられなくなる様子がよく伝わってきました。


他のダンサーも概してロイヤルオペラバレエの人よりも若い人が多く、踊りの水準は正直言って一段下がるものの、今回は役柄の実年齢に近い人が多くて、お芝居としての点数も加えれば決して劣るものではないと思いました。


           R&J 7 これは「アポロ」というバレエの写真です 

            Robert Parker  ← クリックすると他の写真も見られます



音譜 このバレエの人気はプロコフィエフの音楽によるところ極めて大なのですが、今回のように感情移入できる良い席と役柄にぴったりのダンサーたちが伴うと、さらに各場面に相応しく聞こえます。特に奈緒さんのジュリエットの気持ちを表現する細やかな動き一つ一つに音楽が完全にマッチして、感動度アップでした。実はRoyal Ballet Sinfonia(指揮Barry Wordworth)の演奏は時としてかなり下手だったのですが、それすらあまり気になりませんでした。


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↑ 舞台はこの写真でご覧下さい。この日の写真ではありませんが、雰囲気や色調は味わって頂けるでしょう。オペラとちがって、バレエは時代の読み替えとかはまずしないようなので、ほぼどこのプロダクションでも安心して見られるまともな舞台や衣装です。(振付Kenneth MacMillan/デザインPaul Andrews)



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