日本から帰って来てから3週間以上も経って、やっと最終日の日記に辿り着きました。

読むほうは「今頃かよ!」と思われるでしょうが、書いているとあれこれ思い出が蘇ってきて、楽しい時を過ごせました。




<12月3日(日)>晴れ今までで一番寒い日でした


東京では5日間連続で毎日12時間以上着物を着ていたという、自分でもびっくりの記録を作りましたが、最後の日は、着物お出掛けの横綱とも言えるイベントが用意されていました。




            


新橋から歩行者天国の銀座を歩いて着いたところは、



  


将棋歌舞伎座でございます!



着物で歌舞伎座なんて、私みたいな初心者は大いにビビるのですが、大丈夫、ちゃんと着物達人の同伴者ありでした。


ご一緒して下さったのは、きらら♪さんporscheyukoさん


お二人ともミクシーの「ロンドンで着物」コミュのメンバーで、去年ロンドンにいらしたときに一緒に着物でお出掛けした方々です。別々にいらしたので、お二人はこの日が初対面ですが、着物だけでなく、お二人ともよく詳しい歌舞伎の話ですぐ打解けて、楽しくお喋りしながら女三人の贅沢な時間が持てました。



  
  
             左から、きらら♪さん、私、porscheyukoさん



   

porscheyukoさんは牛首紬に城間さんの帯         私は又この組み合わせ



切符は成田屋ファンクラブの会員でいらっしゃるきらら♪さんに切符を手配して頂いて、前から10列目の花道の隣。ここにはよくいらしてるお二人によれば、この日は着物の人は少なかったそうですが、それでも何十人はいて、楽しませて頂きました。




ヒマワリ午後4時半開始の「夜の部」の出し物は、


神霊矢口渡」(しんれいやぐちのわたし)、「出刃打お玉」(でばうちおたま)、「紅葉狩」(もみじがり)の三つ。


私は歌舞伎座はこれで5、6回目で、その他ロンドンでも2回観ているのですが、いまだに初心者なのでもちろん聞いたこともない演目ばかりだし、その上予習する余裕がなかったので、知識ゼロで現地入り。


しかし、歌舞伎座にはイヤホンガイドという強い味方があり、ストーリーやみどころを説明してくれるので、ほんとになーんにも知らなくても大丈夫。(オペラにもこういうのは可能かしらね~?)


だけど、こればかり聞いてると、生の音楽や役者の声が聞けないので、何度もイヤホンを付けたり外したりせわしないことおびただしいのが問題。



無知な私ではありますが、ざっと感想を述べさせて頂きますと、



神霊矢口渡

尾上菊之助がキレイで上手な女形でした。松也君という若手もチャーミング。


惚れた男が自分の父親に殺されると知って身代りになる若い娘(菊之助)、ってヴェルディのオペラ「リゴレット」とそっくりなのですが、平賀源内作の浄瑠璃が元なんだそうです。

(平賀源内というと、35年前のNHKのテレビドラマ「天下御免」を思い出してしまう私です。山口崇が素敵だったし、私が似てるとよく言われる中野良子の出世作。)



出刃打お玉

こちらは菊之助のとーちゃん菊五郎主演。

かつてはナイフ投げ曲芸をしていた女性が今は女郎になり、敵討ちを手伝う人情話。

彼女が敵討ちの28年後にシワくちゃ婆さんになって出てくるのですが、最初が40過ぎの中年女郎で次が70歳くらいと思ったら、お婆さんは「アーア、私も53歳になっちまったよ」なんて言うもんで、「エーッ! いくらなんでもそれはないでしょう!」というどよめきがいっせいに起こりました。観客のほとんどが中年女性ですからね。ま、人生50年と言われたことはそんなものだったのかも。今はちがいますよね(ですよね?、ね?!)


それにしても、菊五郎さん、いまだにNHK大河ドラマで源義経を演ってた頃のような若々しい顔写真を使ってるんだけど、素顔は一体今どうなってるわけ? 舞台だとでっぷりした四頭身なんだけど。


紅葉狩

お芝居だけでは物足りないからやっぱり鳴り物で華やかに音楽も聞かせてくれなくちゃ、と思う私にはこれがこの日のメイン。


まず、イヤホンガイドで「常磐津、清元、長唄の三種類が一緒に登場する珍しい歌舞伎です」と説明があったので、楽しみだったのですが、どれもそっくりで私には微妙な違いが理解できませんでした。


ビジュアル面は最高で、広い舞台いっぱいの真っ赤な紅葉はあっと驚く程鮮やか。

そこに、あんみつ姫のような赤い振袖とキンキラ簪の市川海老蔵が踊り出てくると、観客から「ハアーっ」という溜息・・・


待ってました、おかま姫!


ロンドン公演 の「藤娘」でもそう思ったですが、女形にしては海老様は逞しすぎて、どうしてもおかまの女装にしかみえません。まあそこがひねった魅力と言えなくもないのですが・・・。


しかし、これは藤娘のように海老様の女らしさを見せるためではなく、上品でキレイなお姫様の正体は実は怖ろしい人食い鬼であり、おしとやかな舞いから徐々に荒れ狂う鬼女に変化する様を表現するのが見所。

お姫様の表情が時折一瞬にして険しく変化するのが、海老様のあの美しい顔ですから、迫力ありました。


でも、後半は衣装もメイキャップもがらっと変えて鬼のくまどりにしてしまい、ずっと醜い鬼女で暴れまくる海老様はこちらの方があきらかにお得意で上手なのですが、あれでは折角の美男子ぶりが生かせないわけで、なんだかがっかり。

2、3年前に歌舞伎座に玉三郎を見に行ったのに、老婆の役でがっかりしたことを思い出しました。オペラ歌手にはルックスを求めないけど、歌舞伎役者にとっては美貌はもっとも大切な素質であるとまだ思っている初心者の私です。


この「紅葉狩」は、来年3月の成田屋パリ公演での出し物の一つだそうです。

海老様だけでなく、お父さんの団十郎も出るガルニエ・オペラ座の公演、華やかなイベントになるでしょうねえ・・・ ほんのちょっと行こうかしら、とも思っている私。



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ふーっ、これでやっと日本滞在記が書き終えました。

お天気にも恵まれ、懐かしい人、初めてお会いする人、皆様楽しい時をありがとうございました。



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