4月14日、娘と「オペラ座の怪人」を観にいきました。私は二度目。娘は初めて。

きっかけは、ちょっと前にこのミュージカルのオープン20年記念テレビ番組を観て、娘が行きたいと言ったからです。



          ピカデリーサーカス近くにあるHer Majesty's Theatre


土曜日のマチネでしたが、大劇場ではないのにまだ少し空席もありました。さすがに20年も経つと、かつてのような過熱人気ではなくなるんですね。だけど20年間ずっとずっと週8回やり続けるなんてすごい。オペラとは鑑賞人口が桁違いということは明らか。芸術と娯楽を比べちゃいけないですけどね。おっと、そんな事言うとムッとする人いるかも・・・


いやいや、私が今更言うまでもなく、このアンドリュー・ロイド・ウェバーのゴシック・ロマンスはとても良く出来た作品です。オペラを見慣れた目には次々と変わるシーンや衣装が新鮮な驚きで、観たのは10年振りくらいですがあらためて感心。たまにはオペラもこんなに分かりやすくて工夫が一杯で豪華だったらいいのになあ、とつくづく思いました。オペラは、予習も必要だし想像力を掻き立てなくてはならないですからね。


むっ

だけど、私にとっては肝心な歌唱力がねえ・・・どうしても満足できなかったです。先回もそうでしたが、もうちょっと上手な人はいないのかしらと腹が立つくらい。オペラ歌手と比べてはいけないのは充分承知なのですが、でもやっぱり、オペラ的要素のあるこのミュージカルだけはそこまで要求したくなってしまいます。


今回の主役は、Earl Carpenter, Celia Graham, Micheal Xavierという3人。怪人役のCarpenterは、この役がとても難しいことはわかるのですが、高音になるときの声の継ぎ目があまりにも露骨。クリスティーヌのGrahamは高音が不快なキンキン声。比較的簡単なラウロ役のXavierだけが自然な声で私は満足(おまけに長身の金髪ハンサム。映画版も彼だったらよかったのに)。


      オペラとちがって、3人とも容貌は役柄にぴったり


カチンコ

その映画版、娘が観たいと言ったので早速手に入れて観ました。私もこの映画は初めてで、なぜ今まで観なかったかと云うと、これはやはりオリジナル・キャストのマイケル・クローフォードサラ・ブライトマンのイメージがあまりにも強いので、他の人では駄目なんです。この二人が若いうちに映画にしておくべきだったと思うのは私だけではないでしょう。そういう話はあったのに、実現せずに本当に残念。


しょぼん

とは云うものの、彼らの生舞台を観たわけではないのです(観なかったことはとても後悔してますが)。1986年10月にオープンする前に切符を買っておかなくては駄目でしたね。でも当時(今もですが)クラシックコンサートには結構行っていたけどミュージカルに特に興味があったわけではなし、事前に知ってはいたけど、クローフォードはSome Mothers Do 'Ave 'Em(訳すと「こんな馬鹿な子を持ってる親もいるよね」)というテレビの人気コメディのバカ息子役で大人気だった俳優なので、私は彼のファンでしたが、「えっ、彼がシリアスな役?」とびっくりしてあまりその気にはなれませんでした。サラ・ブライトマンも舞台の実績なかったし。


クラッカー

だけど蓋を開けたらすごい人気で、それからはもう切符が取れません。そして間もなく私は妊娠したので行く機会を逸してそれっきり。でも、NYブロードウェイに進出するときに、クローフォードは有名スターなのでOKだけど、アメリカでは全く無名のブライトマンは彼女である必要はなくてアメリカ人が演じるべきだと思われて最初は許可が下りなかったこととかよく覚えています。


結局ブロードウェイに出る許可が出たわけですが、このオペラは当時婚約者だったサラ・ブライトマンのためにウェバーが書いた愛の贈り物だったわけで、音域もイメージも彼女に合わせてあり、これは彼女のミュージカルなのだから、もし知名度不足で出られなかったら妙なことになってました。


そしてクローフォードのまさかの抜擢もサラのお陰なんですよ。同じ声楽教師に付いていたサラが偶然彼のお稽古を聞かなかったら、誰も彼があんなに歌が上手だなんて想像もしなかったでしょう。日本で言えばアホの坂田が(すみません、古い人しか知らなくて)怪人役になるみたいなものですからね。


砂時計

しかし、あれからもう20年も経ったなんて感慨深いものがあり、それはすなわち娘がもうすぐ20歳ってことですから、年月の経つのは早いものです。私はずっと同じ家に住んで同じ会社に勤め外見もあまり変わってないので実感がないですけどね。



  やぱりこの二人でなくちゃ



怪人の前身はイギリス人なら誰でも知ってる「アホのフランク・スペンサー」


カラオケ

クローフォードとブライトマンは、コンサートに行ったことがあるのですが(別々に)、二人とも存在感はあるし歌がすごく上手。こういう実力のある人が出てくれるのであればミュージカルにも行きたいですが、それは稀なので、やっぱり私は「オペラ観出したら、ミュージカルなんかたあけらして行っとれんでかんわ~」と名古屋弁で呟いてしまいます。


でも、また娘が行きたいと言ったら近いうちにミュージカルに行くかもしれません。

しかし、切符が高い!

オペラハウスと比べたら一番高い席はうんと安いのですが、安い席がないので、今回も手数料とか入れたら、大して良い席ではないのに一人40ポンド近くもしました。ROHなら軽く3回は行けるよ。

娘はミュージカルよりオペラファンになってくれますよう・・・



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