6月12日、バービカンにイタリア人ピアニスト、Maurizio Polliniのリサイタルを聴きに行きました。


いつものGreat Performersシリーズで、枚数割引確保のために「しゃーない、これにしとくか」と買ったもの。(過去に懲りてるポリーニなんか入れるなんて、2006/20007年は貧しいシリーズだったこと)。 



Chopin Prelude Op 45
Chopin Ballade No 2 Op 38
Chopin 2 Nocturnes Op 27
Chopin Scherzo No 3 Op 39
Chopin Polonaise Op 53

Liszt Nuages Gris
Liszt Unstern
Liszt La Lugubre Gondola 1
Liszt Richard Wagner-Venezia
Liszt Sonata in B minor

Maurizio Pollini piano


このリサイタルについては、6月の予定 の記事にこう書きました。


かつての巨匠というのが一番失望することが多く、実際モーリッツォ・ポリーニも1、2度しこたまがっかりしたとこがあるのですが、まあ誰でも調子の悪いときはあるわけで、今回もう一度だけトライしてみようかと。

ショパンとリストばかりのプログラムで、ピアノの底まで見えるようなかぶりつき席なので、欠点が全部見えるだろうな~。たしか彼は弾きながらハモってうるさいし・・」

そう、期待は低かったですよ。

だけど当たってた。


まず、演奏中の唸り声がうるさいのなんのって。

たまに声出すんじゃなくて、出さないときの方がずっと少ないのよ。


想像してみて下さいよ~、音楽を聴こうとしている時に隣で誰かが全くちがう歌歌うのを。

耳障りでしょ?ぶち壊しでしょ?そんな奴がいたら、胸ぐら掴んで、「てめえ、うるせーんだよ!バシっ~」ってなるでしょう?
それを自らする音楽家なんて信じられない。

それでも、ピアノの音程とリズムに合わせてハモるのならまだしも、まるっきり外れてるのよ。第一、そんな芸当がどうしてできるの?一体頭の中どうなってんだ、こいつ? 天才かも(嫌味だよ)


 
                 私の席と目線


席も悪かった。最前列のど真中だったから誰よりも近かったもの。

私の眼からピアノの脚まで僅か1メートル数十センチ、ピアニストの足まで1メートル20、30センチよ。

下から見上げるので、ポリーニおじさんの鼻の穴がよく見えたこの席は、近過ぎて見難い故に安いのも私好みなんだけど、演奏者がこういう人だと極めて不愉快。(値段は割引前で21ポンドとまあお得)。


ほんと、彼が唸ることは知っていたのにこんな席を買った私が馬鹿だった。切符をネットで買うとき急いでたからそこまで頭が回らなかったんだろう。




   歩く姿もよぼよぼと、80歳くらいに見えるかもしらんが、わしはまだ64、5歳だからのう


さて、唸りのことばかり嘆いていても仕方がないので、演奏はどうだったと言うと、


最初のショパン1、2曲はなんか締まりがなくて音も鈍かったので、「ああ、やっぱり・・・。久し振りに聞くけど、そりゃこの年になって前よりよくなるわけないわな」と思い、「うわーっ、これで最後の難しいリストのソナタなんか弾けるのかしら?」と暗澹たる気持ちに。

しかし、徐々に指使いもシャープになって、ショパン最後の有名ポロネーズはなかなかのレベルまで上がった。さすがに世界的な巨匠だ(嫌味だよ)。


後半はリストばかり。最後のソナタ以外は続けて弾かれ、深く知れば味のある曲なのかもしれないが、こういう静かな曲は唸り声の影響を最も受けるので(それを言うなって)、聴いてるのが苦痛な程。

この日の目玉とも言える最後のソナタは、リストらしい華々しくてテクニック見せびらかしのガンガン曲。キーシンが弾いたらさぞかしすごい迫力だろうと思うこんなのを(聴きたいな~)、エネルギーもなくなっただろうに、この年になってをやる勇気はすごい(これは嫌味でもあり感嘆でもあり)。


でも、これはなかなかの出来だったと思う。私も唸りに慣れたし、というより唸りなんかにスポイルされてたまるかという意地で無理矢理頭の中で雑音消し作業したもんね(疲れた汗)。


気をよくしたポリじいさんは、アンコールも3曲(だったかしら? リスト(多分)とショパン)も弾いてくれて大サービス。


クラッカーそして、なんと、最後はほとんど総立ちのスタンディング・オベーション!


えーっ !!


引退公演でもないのに、細かいところはすっ飛ばしてかろうじてOKだったのに、なに、皆立っちゃって(私は立たず。一番前だから座ってても見えるし)、驚いたのなんのって!


他の皆さんは技術的なことはさておいて高度の芸術性を感じることができたにちがいないですね。


それが理解できなかった私は、きっと私は耳がおかしいんですね・・・ダウン


だけど、無理してそれを確かめるために彼のリサイタルに行くことは二度とないでしょう。タイムマシンで20、30年前に戻れない限りは・・・


機会があればポリーニを聴きに行こうとしてらっしゃる方へのアドバイス

  その①「絶対に20メートル以内には座らないようにしましょう」

  その②「できれば200メートル以内にも座らないようにしましょう」。


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