6月17日、地方遠征してお琴を弾いてきました。

我が家から車で一時間のケンブリッジですから遠征というには大袈裟ですが。


日本舞踊の伴奏で、三曲グループから、琴(私)、唄と三味線、尺八の3人が演奏。



場所はケンブリッジ大学のさるカレッジの小さなホールで、観客は120~130人。


日本大使館とそのカレッジ主催のこの無料イベント、申込み者が多くて人気だったそうですが、終了後に寿司とお酒が(これも無料で)振舞われたことも大きな魅力だったにちがいありません。


バタバタしててほとんど写真が撮れなかったのですが、主催者のカメラマンが演奏中に撮ってくれて後で送ってもらえるそうですので、写真はまたその時にアップします。実際、やってる間中ずっとフラッシュをバシャバシャされて目が眩み、音符が見えなくなってしまったほど。


フラッグまずは日本大使館の一等書記官(仰天カタカナ英語!)とカレッジ長の挨拶があり、本日の解説者である英国人ロンドン大学教授が登場。日本に詳しい彼はなんと黒の紋付袴姿。


音譜演奏したのは4曲で、曲の間に教授の説明が入り、休憩なしで1時間半。

踊りの方はさるお家元のお嬢様で、様々な小道具を使って踊られたのですが、もちろん私はほとんど見ることができませんでした。


1編曲八千代獅子 (琴、唄と三味線、尺八)

宮城道雄が古曲を編曲したもので、フルにやろうとすると、十三弦琴二パート、十七弦琴、三味線、尺八、鼓、胡弓で最低7人は要るのですが、なんせ3人しかいないので、お琴二人分を勝手にアレンジしたりして華やかさはぐっと減りますが、まあ仕方ないでしょう。異国での文化紹介はどうしても簡素化、ミニチュア化しますよね。


2黒髪 (唄と三味線、尺八)

私は弾かないので、そこで座ったまま休憩。このときだけ踊りを見ることができました。艶っぽい曲で、私たちグループのリーダーの若い女性の方は4曲のうち3曲を歌うのですが、素晴らしい声で、良い声を持ってる人が羨ましいとしみじみ思いましたわ。私だって昔日本でお琴を弾きながら歌う地唄を習ったんですけどね、とても人前でご披露できません。

三味線もいいなあ、風情があって。大昔ちょっとやったんですけどね。今度日本から持ってこようかな。


3千鳥の曲 (唄と琴X2、尺八)
代表的な古曲で、「淡路島 通う千鳥の鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守」という歌詞は百人一首にもあるのでお馴染でしょう。


4春の海 (琴、尺八)
お琴の曲としては一番有名なのでご存知の方も多いでしょうが、私が今回一番苦しんだのがこれです。

出だしの有名な部分はゆっくりなので難しいとは思わないかもしれませんが、後の方で早い箇所もあるのでちょっと大変なんですよ。私のような素人が人前で弾く代物ではありません。


練習すりゃなんとかなるかも、と何十回も弾いてみたのですが、自信はなくなるばかり。ゆっくりならなんとかなるでしょうが、踊りに合わせるのでそうもいかず、結局ほんのちょっとだけですが、勝手にアレンジして手抜きしちゃいました。宮城道雄先生、申し訳ございません。人数不足で妥協さざると得なかった八千代獅子編曲とちがい、これは私がふがいないばかりに誤魔化すしかなかったわけで、情けないったらありゃしない、でございます。

失敗したらどうしようという緊張感でさらに硬くなってしまい、細かいミスはもちろんたくさんありましたが、流れが止まるほどの大失敗には至らなかったので、まあとりあえずいいことにしましょう。

でもこの曲はもう二度と嫌。実力以上のことをするのは、精神衛生上よろしくないです。


尺八を4曲ずっと吹きっ放しだったのは60代の英国人男性で、音を出すだけでも難しいと言われる尺八を、吹き始めて5年でこんな曲まで吹けるようになったのは、彼がプロのフルート&サクソフォン奏者だからです。


本終了後、間近に見ようと寄ってらした方も結構いたのですが、一番驚いたのは音符でしょうか。きっと五線譜だと思っていたのでしょうが、ちがうんですよ。例として、「千鳥の曲」のお琴の音符をお見せしましょう。


クリックで拡大したら読めるかな?13ある弦を向こうから漢数字で一、二、三、四と名付けてあるだけという単純さです。(11本目から13本目は、斗為巾(と、い、きん、と呼びます)



べーっだ!まあ、こんなシロウトの私でも日本文化紹介のお役に立てたのであれば光栄ですが、練習に時間が取られたし、緊張して疲れてしまったので、終わってやれやれ。これで元のお気楽生活に戻れます。


しばらくは人前で弾く予定はないので、週一回の合奏を仲間内だけで楽しむことに致しましょう。ゆっくり上達して細く長くやっていけばいいんですもんね。



 

会場では着物姿の写真を取り損ねましたが、この訪問着と帯を着ました。
 
車ケンブリッジにはトーチャンが車で送り迎えしてくれました。荷物も多いし、いつものようにトーチャンのヘルプ無しではなにも事が運びません。ありがとう。

だけど、先週の邦楽イベント も今週のも、トーチャンは手助けしただけで演奏を聴いてないのです。私はご招待してるのに本人が嫌だって言うんですもん。ま、別にいいですけどね・・。


        お酒  人気ブログランキング