SOAS(ロンドン大学アジア・アフリカ学科)主催のWorld Music Summer School の琴と三味線コースに参加して、8月2日から三日間、お三味線ばかり弾いてました。


二日目と三日目は着物で行きました。

そんな人は勿論私だけですが、夏は着る機会が少ないし、カタチから入るのも大事ですもんね。暑い時に一日中着ているいるのは大変だったし、着物のエキスパートの方がいる場所に着物で乗り込むのは勇気が要りますが、怖気ついたら着物なぞ着れませんからね、「一人で着るのは難しいから仕方ないですけどね」、と仰りながら先生がお直しして下さるという恥をかきながらも、着物で三味線を弾くという見目麗しい筈の夢を無理矢理叶わせました。


 

sachikoさんから頂いたグレーの薄物に、去年日本で買った絽の夏帯で地味に品良く。



  
           次の日は暑かったので涼しげにと、春さんからお借りしている笠仙の綿紅梅に献上半幅帯で

地唄三味線は高校生の時に、お琴の師範の資格を取るのに三味線の実技試験もあったので最低限だけ習ったことがあり、楽譜の読み方も忘れてましたが、中級者クラスに入りました。


コースの課題曲は「八千代獅子」と「六段」(一段目だけですが)という定番中の定番で、ロンドン三曲グループでもしょっちゅう合奏してるお馴染みの曲だし、たしか試験曲だったので、どえらい久し振りでも体が覚えていたようで、すんなり入れました。


日本からこの指導のためにいらして下さってのは服部かすみ先生とお弟子さん5名の6名で、一方習う方は日によって多少ちがいましたが、10~15名くらいだったでしょうか、個人的にみっちり教えてもらえる贅沢な人数割合でした。


でも、実際には初心者にかなり掛かりきりになるのは仕方がないわけで、私たち三味線中級クラスは(私ともう一人だけですが)、音符は読めるし曲も知っているので放っておいても大丈夫だろうと、ほとんどの時間を自分たちだけでお稽古ということになりました。隣の部屋からもれてくる京劇コースの奇声を聞きながら・・・


もう少し先生が一緒に弾いて下さったら上達するかも、とも思いましたが、主に頭ではわかっていることに手が付いていかないだけなのですから、一人で何度も練習するのは効果的でした。

あちこちのお部屋を回って全員の様子を忙しく見て回る服部先生が時々私たちの教室に入ってこられて、コツや悪い癖を直して下さるのですが、ずっと付きっ切りで指導して下さったら、(鋭い指摘で結構厳しかったので)緊張で疲れたでしょうしね。

  
最後は発表会でした。

いつもの三曲グループのメンバーも何人か参加してて、皆普段とちがう楽器にチャレンジしたのですが、いつもは威厳と余裕で尺八吹いてる英国人のおじさんたちがしおらしく必死でお琴を弾いているのを見るのは微笑ましかったし、他の人のパートを少しでも経験するのは、これからの合奏活動にきっと役立つことでしょう。

音楽仲間のstmargaretsさんも三味線持参で参加して下さいました。

  


練習の成果を見せるのは4曲(さくらさくら、大井川、六段の一段目、八千代獅子)でしたが、生徒だけで弾かせたら滅茶苦茶になると思われてか、結局はどれも先生方も一緒に弾いて下さったのでえらく立派に聞こえましたが、ほんとは先生のヘルプなしで聞いて&弾いてみたかったです。あれだけ必死でやった私たち二人の八千代獅子、下手でも自分たちだけでなんとかお琴と尺八に付いていく自信はあったんですけどね。



  


私たちだけの演奏ではすぐに終わってしまうので、先生方だけで宮城道雄を2曲(春の海、飛鳥の夢)弾いて下さいました。尚、先生方は宮城派ですが、琴には色々流派があり、古曲では少しだけイントネーションとかがちがうのですが、私が持参した大昔の音符の微妙なちがいは書き直してて使いました。


弾いて下さったうちの一つは「春の海」でしたが、これは今日も聞きにくれたトーチャンと娘も、私が2、3月前にケンブリッジでの演奏 のために家で必死に練習してたあれか、とわかったようです。私と先生ではもちろん出来にちがいがあるのですが、私には良いヒントがいくつかありました。

この曲、私には難しいのでもう二度と嫌だと思ったのですが、実は秋にまた人前で弾く機会がありそうで、日本人があまり来ない所でなら又これもやってみるかと思っているところです。


三日間ずっと同じことをやり続けるのは体のあちこちに負担が掛かり、皆さん腕が痛い指に水ぶくれができた、とヒイヒイ言ってました。私も指が痛くて夜は冷水に浸してましたし、すごい肩こり。


すごく疲れましたが、我ながら頑張ったイベントでした。


最後に先生方と生徒の有志でレストランで食事をし、初めてゆっくりお話ができました。このためにわざわざ日本からいらして下さった先生方、本当にありがとうございました。

来年も来て頂けるのであれば、それまでになんとか機会を見つけて練習し、上級コースにチャレンジしてみたいものです。でも、お琴より三味線の方がずっと難しいですからね~、ちょっと無理かも。 

 

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