11月26日、若手中国人Lang Lang君のリサイタルに行ってきました。


4月にバービカン でラヴェルのコンチェルトを聴いたことがあるだけなので、本格的に聴くのは今回が初めてです。彼のような世界のトップグループに参入したばかりの若い人の演奏が一番感動することが多いので、お手並み拝聴するのを楽しみにしてました。

サウスバンクのInternational Piano Seriesの一環ですが、気合を入れて取った切符なので、Royal Festival Hallコーラス席の最前列のど真ん中という理想的な位置で、熱意は要るけど僅かお金9ポンドとお財布には優しい私向きのありがたい席ですニコニコ


一言で言うと、このランラン君のリサイタルは、(次元のちがうキーシン様の敵じゃないけど)、音色がとても美しく、若い男性らしい迫力に満ちた素晴らしい演奏だったのですが、演奏以外のところでいくつか問題あり、でした。



  

まず、ほとんどのピアニストはコンサバな燕尾服姿で登場すると軽くお辞儀をしたらすぐピアノに座って淡々と弾き始めるのが普通なのですが、ランラン坊やはちがって、衿とポケットにスパンコールキラキラが散りばめてあるキラキラチカチカの黒い芸能人スーツでご登場~!クラッカー


ま、それは別に構わないんだけど、それでまずオネエ風にシナを作ってポーズなんか付けちゃうの。


いよっ!美川憲一。


いきなりフラッシュの嵐になるのは美川さんより凄いかも。


でもねえ、中国人の皆さん、写真はカーテンコールまで待つのがロンドン式エチケットなのよ。それも、一応禁止されてるわけだからこっそりと遠慮がちにやんないと。

なのに、曲が終わる度にランラン君の後ろにいる私も目が眩むくらいフラッシュが凄いんだもん。楽譜を見なくちゃいけない演奏家だったら怒るで。

しかし、彼はもちろん暗譜だし、中国式(多分)サービス精神の塊のようなランラン君にはそれがきっと当たり前なのでしょう(これでよしと思ってたら問題だけど)、流し目で(多分。後ろにいる私には見えないけど)でクネクネと「お客様は神様です」ポーズして、中国人観客とランラン君だけは嬉しそうでした。


・・・・・ま、それくらいは大目に見ることにしましょう。同朋が世界の桧舞台に立った嬉しさではしゃいでしまう気持ちはわかりますから。
でも、演奏中にもフラッシュで写真撮ったり延々とビデオ撮影してる人もいたのは、行き過じゃございませんでしょうか?


しかし、もっとびっくりしたのは、ランラン君の演奏中の仕草だ。

演奏中ずっと、ちょっとでも弾かずに空いてる手を京劇の振り付けみたいに動かしてんの。曲が終わった時も勿体ぶってカッコつけ過ぎ。


   むかっ 気持ち悪~~、  わざとらし~~ むっ


同じ世代の中国人ピアニストのユンディ・リもえらく大袈裟なアクションが鼻につくけど、これがチャイニーズ式? 


パンチ!だけど、シューマンの時に、不必要に腕をうんと上に上げてから一気に振り下ろしたら、鍵盤上の着陸点が少しずれてしまい、大幅に音が狂ってしまったのは明らかに本末転倒だ。


あまりのオーバーアクションに気が散ってたまらなかったので、いっそ目を閉じて音だけ聴くべきだろうとは思ったけど、妙な仕草はやっぱし面白いので、「いい加減にせえっ」と思いながらも、近いのに双眼鏡でしっかり観察してしまった私です目


1Wolfgang Amadeus Mozart Piano Sonata in B flat, K.333

優しいタッチで音がとても美しかったのですが、もう少しはっきりとした鋭さとコンスタントなリズムが欲しかった


2Robert Schumann Fantasie in C, Op.17

ファンタジー形式なので変化に富んでるけど、とりとめもなくてだらだら長い曲なので、誰が弾いてもどこかで退屈するでしょう。セクションの途中で休憩しないで一気に弾いて欲しかった。でも、この地味と言えば地味なこの曲を選んだ勇気は褒めたい

     砂時計 INTERVAL

3Enrique Granados Goyescas - Los Requiebros
6 Traditional Chinese Works

中国をテーマにしたチャーミングな小品集。ランラン君がまずマイクで曲の説明をたどたどしい英語でしてくれたし、テクニック的にはどうってことのなかったですが、こういう珍しいものを聴くのは嬉しい


4Franz Liszt Isoldens Liebstod: Schlufszene aus Tristan und Isolde, trans. for piano (after Wagner), S.447

リストのオペラの歌の編曲は私は好きですが、これはちょっと深みと歌心に欠けてたような

5Franz Liszt 19 Hungarian Rhapsodies - No.6 (Tempo giusto)

最後の曲は渾身の力を振り絞るに相応しいパワフルなハンガリー狂詩曲。若いエネルギーは素晴らしかったけど、最後に足を踏み鳴らしてぶち壊し。迫力は足じゃなくて、あくまで鍵盤で表現すべき


6アンコールはショパンの「別れの曲」と、リムスキー・コルサコフの「くまんばちの飛行」
最後まで綺麗な音だったけど、アンコールは2曲とも少しわざとリズムを変えてた?普通にやって欲しかったけど
  

カメラ休憩時間のテムズ河畔のバルコニーからの眺め。ビッグベンも見えます


ランラン君には、実力はあるのだから、余計はことはしないで、演奏だけで勝負してもらいたいのです。

軌道修正して、もっとこちら側に来てくださいね。エスカレートしてあっち側に行かないでね。それとも私の頭が古いのか?


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