11月30日、ロイヤルフェスティバルにRoyal Concertgebouw Orchestraロイヤル・コンセルトヘボー・オーケストラを聴きに行きました。


ロンドンにはLondon Synphony Orchestra、Phiharmonia Orchestra、Royal Philharmonic Orchestra等、いつくかのフルオーケストラがあるのですが、レベルがどれもいまいちなので、外国からの一流オケのコンサートは貴重です。この有名なオランダのオケは毎年ロンドンに来てくれるのですが、今まで都合が合わなかったのでなんと私は初めて。

     クリッププログラムと出演者


     Robert Schumann Manfred Overture
     Felix Mendelssohn Violin Concerto
      INTERVAL
     Peter Ilyich Tchaikovsky Symphony No.5


     Daniele Gatticonductor
     Vadim Repinviolin



シューマンのマンフレッド序曲は、以前生で聴いたことがあるような気もしますが、特徴のない地味目で覚えにくい曲です。

私の席は指揮者を真横から見るような位置なので、全体のバランスも良い筈がなく、演奏についてああだこうだ言うのも憚られますが、世界の一流オケのひとつであるコンセルトヘボーだ、きっと上手なんでしょう。


しかし、先日のランラン同様、再び演奏以外のところで大問題があったんです。


ランランは仕草が目障りだっただけなので目を瞑れば済んだのですが、今回はもっとたちが悪くて、耳障りなことがあったんです。


犯人は、誰あろう、指揮者のダニエル・ガッティビックリマーク


一曲目から、大声でハモるだけでなく、ガーっという喉を鳴らすような不快な音を出すんですもの。私はそういうことがとても気になるんです。声を出す指揮者は結構いるけど、ここまでうるせえ人は初めて。


折角美しい音楽を奏でるために大勢で努力してるのに、指揮者自らそんなことするなんて・・・むかっ


これって、レストランのシェフが切磋琢磨して美味しいご馳走作ったのに、客の目の前でその料理にツバ吐きかけるのと同じじゃないですか?むっ


誰か、「ガッティ先生、それってまずいんじゃないっすか?」って、ご注進できないの?


あせる一晩中こんな音聞かされるの嫌だなあ、次のヴァイオリンのソロの人も可哀相・・・


と思っていたら、なんと、メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトのときはほとんど音を出さなかったマエストロ・ガッティ。


なんだ、静かに指揮できるんなら、いつもそうして下さいよね。


ヴァイオリン独奏は、10年以上前にニューヨークのカーネギーホールで聞いて以来の、ロシア人のヴァディム・レピン。一度カーネギーホールでなにか聞きたかっただけで、たしかセントルイス・オケと一緒のショスタコービッチだったけど、カーネギーホールって音が良いから、上手に聞こえた記憶があります。


久し振りのレピンは恰幅がよくなって、白髪も増えたけど、その時から上達したようにも聞こえませんでした。彼らしく丁寧に上手にまとめてるんだけど、華がない。ヴォリュームも小さかったし。それに、身のこなしが地味で無愛想なことと言ったらどうだ。4日前の京劇アクションのランラン とはあまりにも対照的。


でも、聞き飽きたとは言え、メンデルスゾーンの聞かせどころ満載の超人気協奏曲、生で聴くとあらためて名曲だと再確認。

カメラ写真がぼけててすみませんが、真ん中のブレブレ男がレピンです。ピカピカバシャバシャジージーだったランランのコンサートとはまるでちがい、フラッシュもほんの2、3回だけというまともなクラシックコンサートでした。



さて、唸りコントロールはちゃんとできることがわかったガッティ先生、チャイコフスキーの交響曲5番は我慢して静かにしようと努力してくれるでしょうか、というのが一番気になる点というのも悲しい話ですが、


先生、ありがとうございました、シューマンに比べたらうんと騒音度を低くして頂いて。

メンデルスゾーンよりはかなりうるさかったし、やはりここぞというクライマックスで声が漏れてしまうようで、「ったく、お前はなあ・・」と気がそがれることが何度もありましたが、それ以外は統一の取れた素晴らしい演奏でした。


それにしてもチャイコフスキーの職人芸はすごいです。どれも美しくて娯楽性に富み(もちろん芸術的でもあり)、メリハリもあり、安心して溺れることができます。やるせなさに直撃される6番の「悲愴」ほど感情的にのめり込むことはないですが、この5番も名曲。いつかちゃんと正面のバランスの良い席で(そして又ガッティ先生指揮だったら、「ガーっ」ってのが聞こえない離れた席で)聴きたいものです。


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