1月14日、バービカンのコンサートに行きました。
イアン・ボストリッジ特集とも言うべきhomeward bound という一連のイベントの一環ですが、今日はソプラノとバリトンとの共演で、珍しい3人コンサート。
Dorothea Roschmann soprano
Ian Bostridge tenor
Thomas Quasthoff baritone
Julius Drake piano
Songs from Goethes 'Wilhelm Meisters Lehrjahre:
'Wer sich der Einsamkeit ergibt', 'Wer nie sein Brot mit Tr änen ass'; 'An die Türen will ich schleichen'
An Mignon
Mignon und der Harfner
Mignon Songs:
'Heiss mich nicht reden'
'So lasst mich scheinen'
'Nur wer die Sehnsucht kennt '
'Kennst du das Land'
'Ganymed'
'Grenzen der Menschheit'
'Erlkönig' (魔王)
'Normans Gesang'
'Kantate zum Geburstag des Sangers Johann Michael Vogl'
Songs from Goethe's 'Faust':
'Der König in Thule'
'Gretchen am Spinnrade'
'Gretchen’s Bitte'
'Szene im Dom'
'Licht und Liebe'
'Der Hochzeitsbraten'
全てシューベルトの歌曲なのですが、それぞれが一人で何曲か歌うのとは別に二人或いは三人の掛け合い歌曲もあり、ふーん、さすがサロンで金持ちの寄生虫的存在だったシューベルトだ、芸術的なだけではなく娯楽性もあり。
イアン博士の出来はまあ普通でしたが、この日はあまりたくさん歌ってくれませんでした。共演者に花を持たせるためというよりは、実は彼はその夜にもう一つリサイタルを抱えていたからではないでしょうか。
10時半スタートでは郊外に住む堅気の私はとても行けませんが、コール・ポーターとかノエル・カワードを歌う「Late Night Cabaret」、イアン博士がドーラン派手衣装でシナを作って・・、ということはまさかないでしょうが、なにも一晩に無理して2つもやらなくても。普通の時間に別々にやったら両方行けるのにぃ
なので、今夜の主役はソプラノのレシュマンで、彼女が男性二人を手玉に取って歌いまくってくれました。私のお目当ては実は彼女だったし、好調不調の波の激しい彼女なので心配でしたが、この日は好調で濁りのない美しい声をたっぷり聴けました。私は最前列ど真中というかぶりつき席でしたが(20ポンド弱)、ロンドンにいる幸せをしみじみと味わいました
どこも清潔で物が豊富でなんでも美味しくて天気も良かった日本に比べると、こちらは雨で暗くて地下鉄は毎日遅れるわと惨めな一週間だったのですが、日本じゃこんな有名人のコンサートをこの値段では無理ですもんね。
ちょっと太めの彼女は、バルトリとは違い、自分の体型を自覚しているようで、地味な濃紺のベルベットのドレスに控えめなチカチカのついた知的な長袖ドレス。整った顔立ちだから、痩せればすごい美人なのに。
彼女は素晴らしかったけど、バリトンは別にいなくてもよかったような。Quasthoffは充分上手なものの、あれくらいの人はたくさんいるだろうし、私はバリトンには惹かれないので、対話アリアの相手をしてもらうだけならいいけど、ソロで何曲も歌ってもらわなくてもいいです。
おまけに彼は、歌の間に何人かが咳払いしたときに「シーっ!」と怒ったり、決してうるさい聴衆ではないのに、「咳すんなら歌が終わってからにくんな」と言ったりして怖いんだもん、目の前でーテンコール写真撮ったら睨みつけられるかもとビクビクしたわ。(カーテンコールは舞台袖だったので大丈夫でしたが)
有名な「魔王」以外は、アリア集で聴いたことのある2、3曲を除き知らない曲ばかりでしたが、外国語の歌曲鑑賞はいつも大変で、原語を眺めつつ英訳を読むという作業をしなくてはなりません。
早めに着いてプログラムの翻訳だけでもざっと読んでおくと助かるのですが、今回はお喋りしていたのでいきなり本番で、理解度がかなり低かったと言わざるを得ませんねぇ。
これほど身長がデコボコなグループも滅多にないでしょう