1月26日、バービカンにNatalie DessayとConcerto Kolnのコンサートを聴きに行きました。
最前列のど真ん中で17ポンドちょっと。トーチャンを連れてってあげました。一年前にROHの「連隊の娘」のナタリーを聴いて気に入ったそうなので。
↓ 青字が彼女の歌です。
Donizetti, Overture from Roberto Devereux
Donizetti, O Nube (Maria’s aria) + Cabaletta from Maria Stuarda
Bellini Ah vende te mi que la voce vien diletto (清教徒)
Cherubini, Symphony in D major
Verdi-Rigoletto Gilda aria Caro Nome (リゴレット)
Verdi, Prelude to I Act from Traviata
Verdi,
Evelino Pido conductor
Natalie Dessay soprano
その「連隊の娘」のピョンピョンクルクル飛び回っていたお茶目なお転婆娘とはまるで別人のようなおしとやかな動作で、シックなストレートの黒いドレスのナタリーが静々と登場。
しかし、歌う前、ナタリーは、なんと咳払いしたんです。軽くですが・・・
ムムムッ! もしかして風邪ひいてる?
そして、歌い出したら、
ワーン、やっぱり、鼻声だ・・・
高音はなんとか出るけど(いつもほどピュアではないとは言え)、低音は風邪声。一番影響が出たのは中音で、時折かすれるんです。
ふむふむ、オペラ歌手は風邪ひくと真ん中の声がかすれるんですね。興味深いこと。
なんて納得してる場合ではありませんよ、もちろん。
もうハラハラドキドキ、聴きながら拳を握り締めてましたわ。(一昨年のフロレスもそうだったっけ)
きっと、キャンセルすることも考えたにちがいないですが、一年以上も前に買って待っててくれたファンのことを思って無理して出てくれたんですね、きっと。
気管支炎とやらで3回もキャンセルしたどこかのお姐さんもいるというのに、見上げたプロ根性です。
絶好調の彼女を聞けないのが残念なのはもちろんですが、
今日は出てくれただけで、私は感謝感激雨霰
だって、今日はネトレプコがROHの椿姫に2週間ぶりで復帰したんですよ。ナタリーのために今夜はこちらに来たんですからね(他にもそういう人は多いにちがいない)、今日に限ってあちらにネト子が出て、こちらのナタリーが出なかったらあまりにもあんまりでしょ?
ナタリーは目も少しトロンとして元気がなく表情も始終険しかったけど、幸い(というか)今日はオケの水増し演奏を除くと、プログラム上の彼女の出番は僅か37分。
引っ込む度にもうこれで出てくれない怖れもあったので、休憩前のカーテンコールで写真を撮っておきました。クリックで拡大します。
さて、ナタリーはフランス人なのに、今日は全てイタリア語のお馴染オペラ・アリア。
細い高い声が要求されるリゴレットのジルダはきょうの彼女にはちと苦しかったですが、圧巻はラ・トラヴィアータ第一幕の「ああ、そはかの人か?」と「花から花へ」。
椿姫はナタリーの持ち役ではないでしょうが、この部分はコロラチューラが上手なソプラノに歌ってもらうのが一番だし、おまけに容貌もどんぴしゃのナタリーが病に苦しむヴィオレッタを実際に苦しみつつ気迫で熱演してくれて、声がかすれそうなのもこの場合は観客との一体感を盛り上げるのに一役買って、これだけでもわざわあ週末に出てきた価値はあったというものです。
それを斜め前3メートルで聴けたことは一生忘れません
アンコールなど望むべくもないと思ったのに、ナタリーはまずベッリーニのオペラI Capuletti e I Montecchi(要するにロミオとジュリエット)をしっとりと歌ってくれ、最後はドニゼッティのルチアまでやってくれました(狂乱の場ではなく、カヴァレッタだけですが)。 その後はサイン会もあったようです。
ナタリー、不調の時に歌うのは嫌だろうに、しんどくても根性で頑張ってくれて、本当にありがとう!
どうなることかと思ったけど、それ故に感激ひとしおでした。やっぱり彼女は凄い!
後半の衣装も又ブラック。スラックスの下のスリットも同色のショッキングピンクです。
しかし、リゴレットと椿姫を歌うのにパンツ・スーツってのもねえ・・・