今日(17日)、急遽ロイヤルオペラハウスのドン・カルロに行きました。6日、11日に続き3度目。
運良くリターン切符が午後になって買えたんです。
3度で充分(すでに2回行き、あともう一回行く予定)とは思いつつ、ちらちらリターン切符を眺めていたんです、実は。できれば近くから観たいじゃないですか。今回のbooking periodは運が悪くて、upperslipsしか買えなかったので不貞腐れてましたもんね。
直前になるとリターンはたまに出るのですが、ほとんどが150ポンドだの190ポンドだのという高嶺(高値)の花の中で、今日は私好みの舞台横の席が現れたんです! 50ポンド。
しかし、喜んでバスケットに放り込んだものの、ここが貧乏人のつらいところなんですが、50ポンドもさらに使っていいのしらとしばし悩み(今月はすごい出費だから)、トーチャンにまで相談して(駄目だって言う筈ないけど)、「ま、これ買っても4回分で84ポンドだから、いいいよね、今年はジムを辞めた分をオペラやコンサートに回すことに決めたしんだしぃ」とかあれこれ言い訳をして。
それに、そういうこともあろうかと、今日は双眼鏡とカメラを持って来たしね。
サイモン・キーンリーサイドが出ないのは昨日から知ってましたが(喉の調子が悪いそうです)、まあサイモンはしょっちゅう聴けるわけだし(秋にはROHドン・ジョバンニ、バービカンとWigmore Hallのコンサ-トあり)、たまには他の人も面白そうだ。
代役のDimitris Tiliakosというギリシャ人は、今パリやってるオペラ・バスチーユのドン・カルロでホロストフスキーの代役としてすでにこの役を歌っているくらいだからそんなに下手でもなかろう。
代役ロドリ-ゴは、一言で言うと 歌はマル、芝居はペケ
とてもクリアな美声で私の好きなタイプ。バリトンにしとくには勿体ないくらい。
歌い方にも変化があって、サイモンだと一本調子に聞こえたのに、ティリアコスはサイモンより楽に声が出るようなので変化も付くのかも。時々腰砕け気味になったけど、聞惚れました。
その代わり、(代役だから仕方ないでしょうけど)、芝居は下手でした。
飄々と立ってるだけの長身の彼の周りだけなんか雰囲気が薄くて。(髪の毛も薄いので、カツラ被ればいいのに、とも思ったし)。
でも、サイモンがいなくてどうなるかと心配しましたが、私としては満足。
第一、サイモンが出ないからリターンされた切符なのかもしれないし、サイモンに感謝しなくちゃ、かも。
最終日にもう一度行くのですが、私はどちらのロドリーゴでもいいです。でも、7月3日はイギリス全国あちこちで大スクリーンの生中継だから、それはやっぱり芝居上手なサイモンでないと駄目だわね。
ロドリゴの淡白さと比べると、ドン・カルロはうんと濃かったです。ヴィラゾンの熱血ぶりはやっぱり近くで見ると感動しますね。体も顔も始終ドン・カルロになりきっていて、歌も充分調子よかったし、あんな顔と声でも人を惹きつける何かを持ったスターです。
エリザベス役のポプラフスカヤは高音がちょっと苦しかったけど中音低音は深くて暗くてなかなか良いし、フィリッポ2世のフルラネットもエボリのソニア・ガナッシも絶好調で文句なし。
今日は折角の近さなので、字幕はほとんど読まず、じっくりと見ることに専念し、歌手の表情、衣装の見事さ、指揮者の興奮(パッパーノはガーガーうるさかった)等々、全て堪能しました。
3回目だとさすがに飽きるかしらとも思ったのですが、やっぱり近くの席はいいですね~、すっごく楽しめました。トスカやカルメンとちがってまだ飽きる程聴いたわけじゃないし、名作ですもん、このオペラ。
行ってよかった!
いつもこんな席で、そしてできれば何度か観られるようにするお金を稼ぐためにもうしばらく我慢して働こうかしら、とも思ったりしました。