8月16日、我が家3人とお琴パートナーのKさん、それにお琴を2面乗せてぎゅうぎゅう詰めの車でロンドン郊外のリッチモンドに行ってきました。
アニメ&漫画展覧会の主催者アケミさん
は私と同じ国際結婚組ですが、イギリスで日本文化紹介を精力的になさっている方で、着物姿の彼女をモデルにした作品もいつくか展示されていました。
写真で一番右がアケミさんですが、今日は豪華な振袖姿。袷でも大丈夫なくらい涼しくて快適な日だったのです。
振袖と浴衣が一同に集まるというのもロンドンらしくていいでしょ?洋服でも、毛皮のコートとタンクトップが入り混じるのが普通ですもん。
赤い浴衣のkaoriさんは先週の書道と剣道のデモでもお会いしましたが、今日は会場のお手伝いで大活躍。
Kさんと私のお琴コンビはアニメっぽい柄の浴衣とカラフルな半幅帯で会場の雰囲気に合わせたつもりですが、Kさんの紫陽花の浴衣、可愛いでしょ。
私の紺地に白い糸菊の浴衣は30年以上も前に私が自分で縫ったものですが、写真で見ると白い部分が多いので意外とダークではありませんね。(しかし、自分サイズのはずなのに、寸法をまちがえたのか、身長が伸びたのか、おはしょりがほとんど出ないほど短いのはなぜだ?)
2ケ月前に知り合ったKさんとは一度一緒にちょっと稽古しただけなので、大丈夫かしらと心配でしたが、どちらかがコケずに弾き続ければなんとかなるだろうし、数人の人が展示作品を見ているときに私たちは隅っこで軽くBGMを提供するだけだから、という気楽な気持ちでいたら、それは大間違いで、大盛況の会場はたくさん人がいて、皆さん床に座り込んで息もせずじーっと私たちの演奏に聴き入って、まるでちょっとしたコンサートでした。
六段、さくらさくら、飛躍と簡単なのばかり3曲を2セッション弾いたのですが、いやあ緊張しました
Kさん、お互いなんとか時間を見つけて練習して、もっと上手な合奏ができるように頑張りましょうね、と誓い合った刺激の午後でした。
さて、今日は拝見するのを私も楽しみにしてたた寄席文字のデモンストレーションもありました。
橘右門さんは橘流寄席文字の後継者で、日本の文化庁文化交流使として一年間イギリスで日本文化の紹介をなさっている方で、ご活躍の様子は伺ってましたが、やっと拝見することができました。
まず英語で寄席文字について説明してから、皆にじーっと手元を凝視されながら、たっぷり墨を含んだ大きな筆を鉛筆持ちしてと力強く確実に一本一本丁寧に書いていきます。
ゆっくりとした手順は、こないだの由希さんのすらすらと流れるように書いたかな文字とは全くちがう技術だということがよくわかります。
寿と夢という字を書いた後、どなたかリクエストは?と仰って下さったので、図々しくも私が、「琴って書いてください」とお願いしたら、快く承諾して下さって、おまけにその作品を後で私に下さったんですよ。ヤッホー!
私のリクエストは、琴という時は画数もちょうど良いしその前に書いて下さった二文字とは見た目もちがうし、実物が後ろに立て掛けてあるので、当たり前過ぎるくらい妥当だと思うのですが、
その次に英国人カップルから、「二文字書いて下さるかしら? アンナとエイドリアンっていう私たちの名前をお願い」、という珍リクエストがありました。
え~っ!日本人じゃないから仕方ないけど、それは・・・
とそこにいる日本人の誰もが顔を見合わせたのですが、右門さんは、「それはちょっと・・」とは決して仰らず、しばらく考えてから、3枚の紙に安名、英鳥庵と丁寧に書いて差し上げたのはさすがです。
どんな当て字にするかを決めるだけではなく(私たち野次馬がああだこうだお節介するし)、それを下書きもなくいきなり筆でバランスよく書けるというのは凄い技術
うちのムスメもいたく感心して、動画に収めてました。漢字も少しは理解できるアート学生の彼女にとっては新鮮で貴重な見学だったにちがいありません。
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