10月21日、バービカンでIan Bostridgeのリサイタルがありました。シューベルトの歌曲「冬の旅」Winterreise D911(1827年)で、ピアノ伴奏は内田光子さん。(ちょっと前に日本でもこのコンビでこれやりましたよね?)

冬の旅は色んな歌手のCDで聞きましたが、私にはイアン様のが一番お馴染みで、まだDVDなどなかった時にビデオテープ版で何度も観たし、7、8年前にウィグモア・ホールでイアン様を聴いたこともあります。イアン様らしさが最も出せる曲でしょう。

彼のHomeward Boundというバービカンシリーズの一環でが、もうとっくに終わったと思ってたけどまだやってたのね。切符を売り出したのは他のと同じ去年の初めだったから(もしかしたら一昨年だったかも)、最近値上がり著しいバービカンですが、これは前回プライスなので、最前列で17.85ポンド(枚数割引後)。


時計はい、長~~い間楽しみに待ってたリサイタルでしたが、

そりゃもう素晴らしくて、至福の時を過ごしましたラブラブ!ドキドキ

冬の旅はヴィルヘルム・ミュラーの詩集によるもので、失恋で打ちひしがれてさすらいの旅を続ける青年の歌です。

その美しくも思いっきり暗い死ばかり考えている主人公の化身のような青白くて細長くて繊細な容貌のイアン様は完璧に絵になり、こんな世にも(私の眼には)美しい男性が全身で大熱演し身悶えて眉間に皺を寄せて泣き出さんばかりに悩み苦しむのをこんなに近くで見られるなんて、

ニコニコうーん,幸せ~!

と私は嬉しさを押さえ切れなくて、きっとずっとにやニヤニヤしていたにちがいありません。


  

イアン様の陶磁器のような白い肌は次第に上気し(うっとり)、細くて柔らかそうなブラウンの髪は額に乱れ落ち(ぞくぞく)、激しく感情を吐き出す度に大量の唾が飛び散ります(鼻血がブー)。イアン様の汗を初めて見ました。

もちろん感激したのは歌が上手だったからなんですが、美声なのはもちろん、力強さと繊細さと、私の乏しいボキャブラリーではうまく表現できないのがもどかしいけど、もう最高。イアン様、今がピークにちがいないです。大声を張りあげると迫力ありすぎて、私の距離だとガンガン響き過ぎたくらい。




誰よりも彼に近い席で、彼がピアノにもたれかかっているは2メートル、一歩前に出ると1メートルちょっとの距離で足元から見上げていたのですが、どばっと噴出す唾の飛沫のひとつひとつまで見えた私は幸せ者キスマークウッシッシ

ドラマを中断しないように、曲の間は区切りも拍手も一切なし。休憩時間すらなくて、7時半から9時ちょっと前まで一気に緊張感を保ったままイアン様の一人芝居は続き、いつまでも聴いていたいという私の願いに反してあっという間に24曲を歌いきり、謙虚で短いカーテンコールで見事に雰囲気を残したまま終わりました。

素晴らしいパフォーマンスに拍手喝采だったのですが、聴いてるこちらにも悲しみが伝わって、いつもとはちがう感動的で静かな終わり方。当然アンコールもないし、おそらくイアン博士はCDサイン会などはやらないお方でしょうし。

内田光子さんの伴奏もぴったり息が合って素晴らしかったです。演奏中の表情が豊か過ぎる内田さんですが、幸い私の位置からはお顔がほとんど見えなかったので、イアン様に集中できました。

  


 
  私の席は目の前が舞台

ラブラブ!ラブラブ!
一緒にかぶりつき席でいつものように黄色い視線で見惚れたのはイアン様大ファンのぴかはわいさん。

すらっとお綺麗なぴかさんは白地に小さな紅葉柄の小紋。黒い羽織も粋ですね~

私は例によって若作りの赤いオベベ。

「あ、またあの着物二人組がキャーキャー言いに来てくれた」って、イアン様、もしかしたら気づいてくれたかしら・・・

                  人気ブログランキング  もみじ