11月1日土曜日の夜、パリのオペラ・ガルニエOpera National de Parisにバレエを観にいきました。

ガルニエのバレエについては全く無知な私、バレエの内容についてもダンサーについても予備知識なしで臨みました。だってガルニエのサイトとか当然フランス語ですもんね、わかりゃしませんよ。

ま、オペラとちがい、バレエは何も知らなくても身振りでお話もわかるし感情表現もしてくれるのでそれでいいんです。でもLes Enfants du Paradisってどっかで聞いたような題名だわ、と気になりつつ・・。


途中で映画の白黒フィルム柄のチュチュを着たダンサーたちがたくさん出てきたし、そうか映画のオマージュなんだな、と必死に古いフランス映画を思い出そうとする私。こう見えても昔は映画少女。でもあまりにも昔過ぎるし、イギリスで英語圏以外の芸術に接する機会は日本と比べるとほとんど無いに等しいのでフランス文化遠ざかる一方。途中でマルセル・カルネ監督ということがわかり、うーんそうすると「天井桟敷の人々」しか思い浮かばないけど、でもあまりにも原題とちがい過ぎるからちがうかな。観たのは40年くらい前だから内容を覚えてないし。

どうせ読めないプログラムは買うつもりなかったけど、あまりに素晴らしかったのでバレエが終わってから買い、それをずっと後で眺めたら、映画の写真が載ってて、やっぱり「天井桟敷の人々」でした。原題とのつながりって何よ?

あらすじや背景がわかっていればそれなりの楽しみ方もできたわけですが、敢えて必死で調べようとしなかったのは、何も知らないで観るという喜びもある筈だと思ったからです。オペラではそれは難しいですが、バレエでは可能で、こういうドラマ性のあるものは、映画やテレビドラマと同じように途中何が起こって結末はどうなるのかしら、という楽しみがあるにちがいないですもんね。同じくダンサーについても、先入観なしで観てみましょう。

Les Enfants du Paradis

音楽: Marc-Olivier Dupin
振付:Jose Martnez 
セット: Ezio Toffoulutti 衣装 Agnes Letestu

オケ:Ensenble orchestral de Paris
指揮:Pablo Heras-Casado
Garance: Isabelle Ciaravola
Baptiste: mathiew Ganio
Frederick Lemaitre: Alessio Carbone
Lacenaire: Vincent Chaillet
Nathalie: Muriel Zusperreguy
Madame Hermine: Caroline Bance
Le Comte: Christophe Duqquenne 

パリの下町(後でタンプル通りとわかり、それって先回も今回も何度も歩いた通りだわ)が舞台で、パントマイム役者の男と落ち目の女芸人の長年に渡る恋愛物語です。詳しくはこちらをご覧頂くとして)現実と劇中劇が交錯する厚みのある作りなのですが、いかにもフランスの香り漂う展開で、主役のパントマイム男には複雑な感情表現が求められます。




それを演じたのがマチュー・ガニオですが、

その麗しいことといったらキスマーク

濃い化粧が美貌をさらに引き立て、この世のものとは思えない程の麗しさラブラブ!

もう彼が出てる間はずっと双眼鏡で姿を追っちゃいましたもんね。カーテンコールの白いピエロ衣装だけではなく、現実に戻る時は何度かごく普通のシャツとズボン姿に着替えるのですが、私はそっちの方が好きでした。ピエロ帽子を取ったら栗毛色の柔らかそうな髪がまたセクシーなんですよ。

しかし、どんな美青年でも突っ立ってるだけでは5分で飽きるけど、ずっとずっと見惚れ続けだったのは、マチューの踊りが素晴らしかったからです。

いわゆるバレエのクルクルピョンピョンという振り付けではなかったので、ジャンプやスピンのテクニックはわからないのですが、そのしなやかでシャープで優雅な動きから、彼がただ者ではないことは、バレエど素人の私にもわかりました。

一瞬もゆるがない完璧なポーズと表情。後で聞いたら彼だけがこの夜のエトワール(このバレエ団の最高の地位。ROHのプリンシパルに匹敵)で、それに相応しい抜きんでた実力を示してくれました。まだ24歳!

疎い私でも実はエトワールのマチューって聞いたことがあったくらい有名なダンサーで、この容姿だし、お母さんもエトワールだった人で、まさにバレエ界のプリンス(母息子の「二人のエトワール」というDVDも日本で出てます)。

ROHとはちがいパリでは出演ダンサーが直前にならないと発表にならないので、ファンは不便してるらしく、それなのに私なんか何も知らずに行った日にそんな大スターが出てくれてラッキーなことでした。

カメラここからのカーテンコール写真はクリックで拡大します)

  

    

   


  

元エトワールのJose Martinez(カーテンコールに出てきましたが、長身で美形。現役時代はさぞや)振付けの新作バレエですが、伝統的バレエを踏まえながらドラマチックに盛り上がる作品で、舞台と衣装は落ち着いた色調ながらも華やかで、しかもなんたってハコはシャガールの天井画も素晴らしいネオ・バロックのオペラ座ですから、それだけで夢のような世界です。

群舞は一糸乱れずという程でもなく、ROHと大して変わらないような気がしましたが、他のソロの人は、エトワールでもないのに充分上手。


宝石ブルー
幕間にはロビーの大階段で二人のダンサーがオテロを踊り演じてくれました(これも劇中劇の一つみたいです)。知らなくてトイレに行ってたのでほとんど観られませんでしたが(どうりでトイレが空いてた筈)、デステモーナ役は日仏ハーフの工藤美笛さん。日本で出版もしてらっしゃるようだし、日本では知られてるのでしょうか?
  


ただガルニエでバレエが観られればという軽い気持ちで行ったのに、こんな凄いのが観られて満足満足クラッカー

映画これを機に不朽の名作映画「天井桟敷の人々」も是非もう一度観てみたいです。映画三昧は私のリタイヤ後の最優先活動案なのですが、一体いつそんな悠々とした有閑身分になれるんでしょうか・・・

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