カメラ写真はクリックで拡大します。


5月1日、ヴィクトリア&アルバート・ミュージアムに味方玄(みかたしずか)さん(42歳)率いる能を観にいきました。 もちろん着物で。→ こちら


オペラ三昧イン・ロンドン   オペラ三昧イン・ロンドン


実は私、能を生でちゃんと演目全部観たのはこれが初めてなんです。だから無知丸出しで見当違いの感想になるかもしれませんが、私がしょっちゅう観てるオペラにも通じる面もあり、とても楽しめました。


A Day of Rare Buddhist Dancesと銘うったこの無料イベントは、インド、スリランカ、ネパール、日本の伝統舞踏紹介するもので、平日なので私が行けたのは夜の能のみでしたが、できれば午前11時から夜9時までぶっ続けで観たかったです。

能は2回あり、日中の「通い小町」と夜の「敦盛」。


クリップ

出演者 (二つの演目で)


Main Actors/Chorus Shizuka Mikata, Madoka Mikata, Hiromichi Tamoi, Yoshihiro Umeda, Kazuaki Kawamura, Yasuchika Urata, Yukihiro Urabe, Nobuyuki Oe, Shigeki Miyamoto, Kousuke Oe

Flute Manabu Takeichi

Kotsuzumi Ichiro kichizaka

O-tsuzumi Masaru Kawamura


オペラ三昧イン・ロンドン   オペラ三昧イン・ロンドン


会場は、ラファエル・ルームという大きな部屋で、壁に掛かる7枚の大きな絵画はろくに見もしなかったのですが、なんと女王陛下所有の本物のラファエルなんだそうです。イギリスが世界中からかっぱらってきたモノが陳列されているのですが、さすが大英帝国。この部屋も今度ゆっくり見学に行かねば。


宣伝不足のイベントでしたが、観客は2百人くらいはいたでしょうか。能楽堂は足踏みの音が響くように舞台の下に瓶が置いてあるそうですが、今回は他の踊りもあるし勿論そこまでは無理なのですが、一日だけにしてはそれらしい立派な仮設舞台が設えてありました。


しかし、カマボコ型のこの空間は音響がパフォーマンス向きとは言えず、音が響き過ぎ。ワーンと少々聴き辛かったです。しかも、開けっ放しのドアの向こう側で子供が叫んだりして、理想的な環境からはほど遠く、いくら無料だからとは言え腹立たしかったし、役者さんたちも気が散ったかも。


でも、それは舞台に集中していたら段々気にならなくなり、特に物語も舞も白熱した後半は、素晴らしいパフォーマンスを堪能しましたクラッカー


私、能は厳島神社やどこかの有名なお寺の野外舞台でちょっと観たことはありますが、たまたま通り掛っただけなので演目の知識もなくて退屈そのものでした。家族は今でも能を退屈な芸の代名詞のように言います。オペラもそうですが、筋書きや見所を前以て調べておかないと楽しめないし、神経を集中して臨まないと良さがわからない高尚な芸術ってことです。


世阿弥の編作になる敦盛」は、平家物語に出てくる平清盛の甥で、16歳で一ノ谷の合戦に散った笛の名手である美青年が霊となって現れる話ですが(詳しくは→こちら )、彼が生前の姿で平家の栄枯盛衰と討ち死にの様を謡い踊るクライマックスは怪しくも凛として美しく、装束も色鮮やか。きっと能の中でも優雅で華やかな演目の一つに違いないですね。



オペラ三昧イン・ロンドン   オペラ三昧イン・ロンドン


初めての私でも、一流のパフォーマンスだということはわかりました。特に主役の味方玄さんは、謡う声も舞い姿も端正で麗しく、歩くだけでほーっと溜息が出そうラブラブ

歌舞伎と比べたら、能はオペラにずっと近いものがあることも発見。折角あんな朗々とした美声なんだから、ちょっとメロディ付ければいいのに、などと不謹慎なことを思ったのは私だけかしら?


そして、私が大好きなのは鼓の音ラブラブ! 大鼓と小鼓のデュエットにあの、お~、ハっ!、よぉ、という掛け声だけでもずっと聴いていたい程だし、リズムを変えてジャズやオペラの合いの手でもしたらさぞや良いでしょうねえ。

も上手でしたが、姫君などが弱々しく吹く印象とは違い、とても力強い演奏で、尺八的でもあったような。


ぶっ続けで1時間半、字幕もないし(あれば良いのにね。「XX候」しかわかんなかった)、退屈して途中で抜け出す観客がたくさんいるかもと思ったのですが、そんな人はほんの僅かで、皆さん熱心に鑑賞してました。「シテって何?」なんていう無知な私より余程知識がある外国人は多い筈。


オペラ三昧イン・ロンドン   オペラ三昧イン・ロンドン

カメラ 終了後、他の国の出演者たちと一緒に記念撮影


オペラ三昧イン・ロンドン   オペラ三昧イン・ロンドン


しかし、折角こんな一流の方たちがいらして下さったのに、ほとんど宣伝されることもなく、


一日だけのパフォーマンスだなんて勿体なさ過ぎますむかっ 


kabukiと同じくらいにnoh playというものがあるのは知られているので、ちゃんとした劇場で数日間やっても客は入ると思うんですけどね。


是非いつかちゃんとした能楽堂で観てみたいです。文楽も観たいのですが、海外にいてはなかなか叶わぬ夢です。せめて、お琴が聴きたいけどロンドンでは機会がないという人のために、下手でも私でよかったら演奏させて頂きますよって気になってしまいました。思うばかりで全然練習してないんですが、頑張らにゃ。


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