左から、ユリ、エカテリーナ、ヤン、恵理、ジョルダーノ
Cardiff Singer of the Worldコンテスト、夕食の時間を後にずらしてまでテレビでしっかり観戦しましたが、残念乍ら中村恵理さんは優勝できませんでした
32才のロシア人ソプラノが勝ったのですが、1、2度高音がきっちり上がり切らなかった以外は恵理さんより勝っていたから仕方ないですけどね。
恵理さんは実力を出し切って健闘し存在感を立派に示したので満足でしょうが、いやー、テレビの生中継観てるだけでも緊張しましたよ。。ROHでネトレプコの代役で歌ったジュリエットが一番良かったと思いましたが、恵理さんの表情は凄まじくて、ちょっと力入り過ぎだったのではないかと。
優勝したエカテリーナ・シェバチェンコ、凄いと思ったのは、ひとつもロシア語で歌わなかったことで、予選ではオネーギンのタチアナの手紙アリアが素晴らしかったのが決勝進出なった主な理由だと思うのですが、決勝では敢えてフランス語(ファウスト)、イタリア語(トゥーランドット)の他、なんと英語(道楽者のなりゆき)で歌い、アリアは違えど恵理さんも歌ったトゥーランドットのリューの歌ははっきりエカテリーナの勝ちでした。これは東洋人役だから恵理さんの方がルックス的に適していたのに、です。
ROHで秋にやるドン・カルロ、下手くそなポプラフスカヤを引き摺り降ろして、エカテリーナが歌ってくれればいいのに。
(ファイナルで歌われた曲のリストは→こちら ですが、立て続けにこれだけ歌うのは大変)
私もそう思いましたが、優勝はエカテリーナとウクライナ人カウンターテナーの争いだったようです。
そのユリ・ミネンコ、予選よりずっと出来が良くて、かのファリネリ(有名な18世紀のカストラータ)の兄弟であるブロスキが作曲したアリアは素晴らしくて聞惚れました。私がカウンターテナー好きだからかしらと思ったのですが、会場の反応も一番大かったそうな。カウンターテナーの決勝出場なんて初めてだから彼に勝たせてあげたかったですけどね。
カウンターネテナーと言えば、2年前に出た茶髪の中国人のカウンターテナーも上手だったけど、衣装と仕草がすっ飛び過ぎててヒンシュク買ったかもしれないのに比べると、今回のユリはまともで優しい感じのハンサム君だったのも好印象だった理由にちがいないです。
ルックスは良くないけど(若いのにとっちゃん坊や。おまけにデブ)、イタリア人テノールのジョルダーノ・ルカの美声は強烈な印象で、声の素質だけで優勝が決まるのであれば、彼の楽勝でしょう。なんと1988年生まれの弱冠21歳の彼は、予選に比べると今日は緊張してて、高音が伸びやかに出なくて残念だったけど、それでもイタリア語の手垢のついたアリアばかりでも声だけで聴かせてしまうという恵まれた才能。これでは韓国人テノールのパーク君がどんなに努力しても天性だけで負け。
このジョルダーノ坊や、オーケストラをバックに歌うのすら初めてだそうで、明らかに経験不足。次回出るべきでしたね。でも、一般投票で決まるaudience prizeを貰ったことからもわかるようにわかりやすい美声だし、このまま伸びれば将来有名オペラハウスで主役をやれるのは間違いなし。
そのパーク君、予選落ちだったけど、なんと来シーズンのスカラ座にロミオで出るそうな。凄いじゃないの。でもロンドンで世話になっておきながらなぜミラノなんだ?!去年私が彼に「ROH研修生が終わってもロンドンにいて頂戴ね」と言ったら、「うん、僕もロンドン中心にやりたい」って言ってたのにぃ。
スカラ座なんか高くて二度と行けないんだから、ENOでもいいからロンドンで歌って欲しいです。
このコンテスト、次は再来年だけど、それまでにリタイヤしてたら、是非カーディフに滞在して生で聴いてみたいものです。