<7月5日(日)>
ヴェローナからただいま~
どんな旅だったか追々書いていきますが、今日はまず、皆様に祈って頂いたお天気のことをご報告。
結局、これが一番思い出に残ることになりそうだし。
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なんせ、ヴェローナの旅の目的は野外オペラ鑑賞なのに天気予報は悲惨だったので、最悪の場合は2回とも雨天中止になることはちょっと覚悟していましたが、
3日の金曜は午後着いたのですが、ずっと良いお天気で、夜のオペラも全く問題なし。全く心配せずに夜中まで暑い中、トゥーランドットのスペクタルを楽しみました。
そしたら、真夜中に激しい雷雨となり、ピカごろピカごろザーザーと長い間うるさかったこと。でも、。「ほらね、私は晴れ女だから全然心配してないわ」と高月さんが仰ってた通り(私自身も割とそうだし)、オペラ上演中時間とずれてたのはラッキーそのもの。
4日の土曜日は、昨夜の嵐が去って朝から快晴。期待してなかった南国イタリアのまばゆい陽光を浴びながら日中は観光にいそしみました 写真は近いうちにアップします。
こんなに良いお天気なんだもの、今夜も楽勝だわと楽観的に凄し、6時過ぎからゆっくり夕食をし、早めに行って良い席を確保しようとレストランを出たら、
ガーン! 雨がザーザー降ってるじゃあないですか
一流歌手の出る今日のアイーダの方がずっと楽しみだったのにぃ・・・・
でもまだ開演まで1時間あるからそれまでには止むかもしれないと、雷雨の中、アレーナに急ぐと、昨日よりうんと多い人でごった返してました。まだ中止決定はされてなくて、入場させてもらえましたが、「昨日は割りと近くの良い席だったのに、ちぇっ、今日はこんな遠くか。がっかり・・」という不満な席に誘導されてしまいました。
雨は段々小止みになって、「これなら大丈夫かな?」、と思いきや又またザーっと降り始めたりしたので、傘と雨合羽で祈るような気持ちで雷の鳴る空を見上げる私たち。諦めたのか、それとも雨宿りのためか席を立つ人もいたので、機会を逃さず徐々に舞台に近い席ににじり寄り、恨めしい雨のおかげで理想的な席に陣取ることができました。
平土間の高い席はビニールで覆われ、上等な服装の観客は屋外でシャンペンでも飲んでいたんでしょうが、我々貧乏石段組は指定席ではないし、雨の中じっと待つしかないのですが、ぐるりと囲む大観衆(満席だと2万以上)が雨が止むのを一斉に真に願ってるわけだし、を時折ちょっとしたことで拍手したりして気分が高揚し、独特の一体感が生まれました。
その巨大な祈りが通じたのか、やがて雨は止み、50分遅れて10時過ぎにオペラが開始されました。ワーイワーイと、もうそれだけでもう皆嬉しくてたまらないのは当然。もうパフォーマンスがどんなひどくてもやってもらえるだけで御の字ですが、アイーダはダニエル・デッシー、ラダメスはファビオ・アルミリアートですから、悪い筈はなく、ほんとうに雨が止んでよかったと更につくづく思ったのでした。(パフォーマンスの感想はまた別に書きます)
最初しばらくキャンドルに火と灯してた人もたくさんいて、幻想的でしたしね(上の写真)。
でも、実は始ってからもハラハラし通しだったのは、雷で空がずっとピカピカしっ放しだったからです。空一面が何秒おきかで、銀色に輝くのは舞台効果としては満点でしたが、遠くでゴロゴロしてる音を聴きながらそりゃ不安でしたよ。
せめて見せ場である大行進シーンまではもって欲しいわ、という願いは叶えられたので、まあここまで観られればいいかと思った後、その不安は現実となり、アイーダが父親に「娘よ、お願いだから故国のためにラダメスから軍事機密を聞きだしてくれ」、と懇願されるシーンが終わったら、また雨が降りだしてしまったんです
ほんのちょっとポツポツしただけなのに、オケの人の反応の素早かったこと!
ちょっとしてから指揮者(ダニエル・オレン)の指示を待ってから避難するのか思っていたのですが、いきなりストップして、ほんとに蜘蛛のコを散らすようにあっと言う間にオケピットが空になりましたもんね。慣れているのでしょうが、雨の日だけでも、オケだけ覆いを被るか、それともカラオケにすればいいのではないかと、私はマジに思います。
この時点で「もはや、これまで」と思って帰った人も多かったですが、ここで諦めてはいけません。大した雨ではないから、また止むでしょ、と信じてじっと堅い石席で我慢の子(お尻がかなり痛いです)。
で、待つこと30分、また再開されました。アイーダとラダメスの逢引シーン、実生活でも夫婦である二人の息の合ったドラマチックな駆け引きをそりゃ観たかったので、状況を考えれば満足&感謝。
そしたら割とすぐに、今度はかなり激しく降ってきたので、ラダメスの裏切りがばれたところで再び中断。もう駄目だわね、と思ったら、「はーい、これで終わりで~す」というアナウンスがありました。夜中の1時過ぎなのに、これだけやってくれてありがとう。この雨と雷の閃光、ヴェローナ最大の思い出になりました。
フロリダのディズニーランドで買った雨合羽が役に立ちましたねえ
ホテルまで30分掛かって雨の中を歩く途中、興奮したせいかお腹が空いてきたので、「日本だったらラーメンの屋台とかあるのになあ・・」と言っていたら、なんと、パスタの屋台(ライトバンですが)がいたんです。もう終了してドアを締めようとしていたお兄さんに「一皿下さいな」と頼んだら、プラスチックのボールに盛ってくれました。
ちょっと冷めてたので凄く美味しいとはいえなかったけど、無料にしてくれたので、喜びもひとしお
でも、後で考えたら、彼らはもしかしたら、スープ・キッチン(ホームレスに食べ物を恵むチャリティさん)だったかも。私たちの前にパスタもらってた人たちは屋根はあるけど野外の床に寝袋敷いて寝ようとしてたし(浮浪者風ではなかったので、おそらくオペラに行ったけどホテルが取れなかった人たちでしょう)、「このパスタ、いくらなの?」と何度聞いても怪訝な顔してたのもうなづけます。
お兄さんたちに請われて一緒に写真撮ったのですが、後で「これ見ろよ~、この日は東洋人の女たちがいたんだぜ、珍しいだろ」って言いふらてたかも。それならいっそ浴衣でも着てれば、もっと喜んで頂けたのにねえ。実は浴衣でオペラに行こうかどうかすごく迷った結果、やめたんですよ。残念。
というわけで、妙にワクワクと楽しいヴェローナの夜でした
ところで、巨大で野外という開放的な雰囲気ですから、オペラのパフォーマンスの真っ最中にもあちこちでカメラのフラッシュ。
私も雨で不安なこの日ばかりは、図々しく、やってる最中の写真も撮っちゃいました。いつ何時引っ込んでそれっきりになるかわかりませんでしたから、大目に見てください。ちょっとだけお見せしますと、