オペラ三昧イン・ロンドン
10月13日、この日のカルメンの切符はトーチャンとニーチャン夫婦に譲り(だから、この日だけは行かない)、SOAS(ロンドン大学アジア・アフリカ学科)のブルネイ・ギャラリーで行われたレクチャー付き新内公演を観にいきました。


出演は、鶴賀流十一代目家元の鶴賀若狭丞(つるがわかさのじょう)さんと、三味線伴奏の鶴賀伊勢次郎さん。2~3百人の客席は満員で、SOAS教授2人の江戸時代と新内についてのレクチャーの後、鶴賀さんお二人が「蘭蝶」と「関取千両幟(のぼり)」の一部を三味線と唄でご披露して下さいました。


私は新内がどんなものなのかも知らなかったのですが、さすが人間国宝、十一代目若狭丞さんは70歳とは思えない若々しいお声で聞惚れました。唄と語りとその中間のような部分を男性女性幾人もの声色を使い分け、この道60年の名人芸。
オペラ三昧イン・ロンドン
残念だったのは、マイクをお使いになったことで、折角の美声はやはり生で聴かせて頂きたかったです。あの広さの会場でスピーカーが必要だったでしょうか?大きな歌舞伎座でも使いませんよね。私は最前列だったので、生のお声もかなり聴こえたのですが、それでもちょっとがっかりでした。


両方とも初代家元の作品ですが、18世紀作ですから、題材がふがいない亭主のために身を売る女房の涙の物語というのも、あまりにも時代錯誤。かと言って、この形式で今の世相を反映する作品を作るのに適しているかと言うと・・・。家元もここで仰っていたように、後継者育成が非常に難しい伝統芸能であることは容易に想像できます。その点、私がやっているお琴なんかは、同じ古典と云えども、自然とかの普遍的な題材にできる分理解し易いわけで、生き残りは簡単なように思われます。


ともあれ、日本にいてもなかなか機会のない古典伝統を、遠方からいらして下さった人間国宝の演奏で拝聴できるだけでも恵まれているのに(しかも無料で)、終了後はスポンサーのアサヒ・ビールさんのご厚意で瓶ビールまでふるまって頂いて、本当にありがたいイベントでした。


関係者以外で着物姿だったのは私たち着物仲間グループだけだったので、お家元と一緒に写真を撮ったりお話させて頂いたりもできましたチョキ
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                                私の亀甲柄の紬も帯も母親のお下がり

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さて、翌日の14日は、お琴で同じようなイベントがロンドン郊外で行われ、私がお琴を習っている先生がレクチャーと演奏をなさったのですが、こちらは宣伝不足と不便な場所のため、比較にならない程少ないお客さんでやや淋しいイベントになりました。お琴はとてもお上手だし、レクチャーの内容も新内公演と比べてもそう劣るものではなかったのに残念です。


ロンドン西部のアクトンにあるAsian Music Circuitという団体は、交通は不便でも2、3年前に素晴らしい専用の建物を建て、中東からインド、東南アジアの民族音楽の紹介に努めています。小さな博物館もあり、珍しい楽器が陳列されてます。


色んな珍しい楽器の生演奏を聴くことができますので、ご興味ある方はどうぞ(→こちら


14日の曲目は、先生の独奏で古曲の「みだれ」と「秋の曲」(一部)、現代曲の「風にきけ」(吉崎克彦)の3曲と、私との合奏で宮城道雄の「さらし風手事」。私は替手の簡単なパートなので気が楽だったし、観客は少なくても合奏するのは嬉しい緊張感だし、そのために練習もして少しは上手になったでしょうから満足です。


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