<12月20日(日)>


家の前の道がまだ凍ったままなので車が出せず、お琴持参のパーティを断念。まだまだ寒波は続くようです。


観たものを時系列に書くとと全てがえらく遅れてしまうので、たまには順狂わせで昨晩観たものを速攻アップ。

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オペラ三昧イン・ロンドン


12月19日、バービカンにNYメトの同時生中継オペラLes Contes d'Hoffmannを観に行きました。料金が高いのがナンですが(まともに買うと25ポンド、私は5枚まとめ買いで15ポンド)、歌手の表情がよく見えるし、今ニューヨークで起こっていることが同時に観られるので独特の臨場感もあり、コベントガーデンで観る生舞台とは違う楽しみ方ができます。


1881年初演のオッフェンバッハのこのフランス語オペラ、詩人ホフマンが過去に想いを寄せた3人の女性との思い出を再現するという、しかも非現実的でアホらしいエピソードばかりなので、スケールが大きくて華麗な音楽だけを楽しむことにしましょう。内容柄、舞台は豪華で、3、4場面がらっと変らなくちゃならなくてビジュアル面も重視せざると得ない作品なので、私もこれはラジオ生放送ではなく舞台を観たかったんです。


オペラ三昧イン・ロンドン
Olympia ...... Kathleen Kim
Antonia/Stella ...... Anna Netrebko
Giulietta ...... Ekaterina Gubanova
Nicklausse/The Muse ...... Kate Lindsey
Hoffmann ...... Joseph Calleja
Four Villains ...... Alan Held
Chorus and Orchestra of Metropolitan Opera
conductor ...... James Levine



家舞台と衣装ワンピース


私にはお馴染みのROHのホフマン物語は豪華でカラフルで洒落ててROHの中でもベストと私は思うのですが、このメト版も勿論メトらしく豪華だし、3つのエピソードの登場人物が他のにもちょっと混じって出てくるのが面白い演出と思いました。ダンサーも出てきてさらに賑やかなのも良いのですが、照明が暗いし、私はROHの方が断然好きです。特にヴェニスが舞台の幕は、有名な「ホフマンの舟歌」はこうでなくちゃというゴージャスで妖艶な音楽にぴったりのROH版の圧勝。


音譜パフォーマンス


宝石ブルーホフマン

ロランド・ヴィリャソン降板の代役となったジョセフ・カレヤが初めてこの役に挑戦。それまで何度か聴いて良い声だけど一本調子でイマイチと思っていたカレヤが、6月のROHのトラヴィアータで一気に花開いて大ファンになったので(→こちら )、この変更には小躍りした私(ヴィリャソンも悪くないけどこの役でROHで何度も観たので)。

期待は高かったけど、いわば脇役のトラヴィアータのアルフレードとは比べ物にならない程の大役ホフマン、スタミナには問題なさそうなだけど、誠実な田舎のイモ兄ちゃん風情で控え目な彼が果たして主役としての存在感を示せるかがちょっと心配でした。


でも、演出家も幕間インタビューで「カレヤのホフマンdarkでcreepyではなくて(ヴィリャソンはまさにこれだ)openでwarm」と、言ってた通り、彼らしいホフマン像を作り上げ、歌にも更に抑揚が付いて、素晴らしい出来でした。メトの大役で成功して映像も残れば、これでトップ・テノールの仲間入りを果たしましたね。ハンサムじゃないけど大柄で、声も体もスケールの大きな一流テノールの誕生です。拍手拍手クラッカー でも、これ以上太らないでね・・。


彼、4月に新国で奥さんと共演して「愛の妙薬」をやるんですが、彼の素朴でチャーミングなネモリーノ、観たいわあ(こちら )。


オペラ三昧イン・ロンドン


宝石紫ニクラウスミューズ


ガランチャの予定だったんですが、例のアラーニャ&ゲオルギュー夫妻の離婚のあおりを食ってアンジェラ奥様が年末開始のカルメンを降板し代役にガランチャがなったので、このニコラウスもやるのはさすがに無理。


ホフマンの友人ニコラウスのズボン役のガランチャはさぞや素敵に違いないので残念でしたが、代役のケイト・リンゼーも充分魅力的でした。歌も容姿もガランチャを薄めたような彼女は、背丈はあるけど高過ぎず、すっきりとした鋭角的な顔はマレーネ・ディートリッヒのよう。彼女自身もインタビューで言ってましたが、ディートリッヒをyoutubeで観て身のこなしも真似したそうです。凛々しい男役のできるメゾソプラノをまた一人発見して嬉しいです。


オペラ三昧イン・ロンドン


女の子オランピア(ロボット)


機械仕掛けのお人形のオランピアはコミカルな動作が受けるし一番印象的なアリアもあり、彼女の良し悪しでオペラ全体の出来が左右されてしまうほどの大切な役。

若い韓国人ソプラノのKathleen Kimはうんと小柄でもろに東洋人体型なので異様な目立ち方をしてしまいましたが、この役はそれでもOKだし、見慣れると4頭身の日本人形みたいで可愛い。歌は素晴らしくて、カーテンコールでもカレヤやネトレプコと同じくらい喝采浴びてましたアップ


来年のメトの「ナクソス島のアリアドネ」のツェルビネッタ役にも抜擢されたそうですから大躍進間違いなし。オペラ界では日本人は韓国勢に押されてますが、彼女の出現でまた差が大きくなりそうです。


オペラ三昧イン・ロンドン

天使アントニア(病弱な歌手)


今回の客寄せの目玉のネトレプコですが、出番は短いので、どんなオペラか知らずに彼女目当てに来た人はがっかりでしょう。まだ出産太りのままで、幕間司会者のデボラ・ヴォイトと体型は大して変らないので、あのほっそり可愛いネト子ちゃんを期待して来た人も失望でしょう。

でも、さすが人気ナンバーワンの歌姫、短くて地味な役も彼女が歌い演じると一大悲劇のヒロインに格上げ。

素顔もそうなのか、それとも人前だけの受け狙いなのかはわからないですが、幕間にお茶目な面も見せてくれました。(あっ! 今これを書きながらテレビでメトのロメジュリを観ているんですが、ネト子ちゃんやっぱり幕間にカメラに向かっておどけてます)


オペラ三昧イン・ロンドン


カクテルグラスジュリエッタ(ヴェニスの娼婦)


女性歌手の中ではEkaterina Gubanovaだけが全くぱっとせず、他にもっと上手な人はわんさかいるだろうに、なぜ彼女が?歌う場面が少ないので、豪華な衣装だけでいいやと思ったのでしょうか?それなら、歌は駄目でもせめて美人を出すべきでしたねダウン


クマ悪漢4役


私にとってはルネ・パペが降板したのが今回一番の痛手。Alan Heldというどうってことないおじさんが代役だったのですが、下手じゃないけど、声に凄みがないし悪漢らしい目つきの鋭さもゼロなので大画面では迫力不足。ルネ・パペのダンディな悪漢が観たかったです。


オペラ三昧イン・ロンドン



カラオケ幕間インタビュー

これがお楽しみの一つなのですが、お馴染みの喋り上手なデボラ・ヴォイトが今日の司会。主な歌手と演出家、舞台と衣装担当者と話をしてそれぞれ興味深かったですが、なんと思いがけずロベルト・アラーニャも登場目 もうすぐ始まるカルメンのリハーサル中なので、闘牛士役のマリウス・キーチェンと一緒に顔を出してくれたんですが、いきなりロベルトの大アップが出てきて嬉しい最前列の私でした。ええ、私は映画でもかぶりつきが好きなんです。

カルメンのメト生中継は1月16日。もちろん行きますとも。



カチンコ


日本の皆さんは同時ではないけれど、何度も観られていいですね。ロンドンでは同時生一回のみよ。

と言うわけで、ガランチャとパペが出てたらどんなに良かったかと思うと悲しいですが、私にはカレヤだけでも充分価値ありでした。



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