オペラ三昧イン・ロンドン

3月2日、SOAS(ロンドン大学アジア・アフリカ科)のブルネイ・ギャラリーで、中村福助さん他による歌舞伎レクチャーと実演がありました。歌舞伎は門外漢ですので、パフォーマンスの良し悪しはわかりませんが。


オペラ三昧イン・ロンドン
宣伝不足だと思うのですが(かなり空席ありました)、このイベントのことを知ったのは僅か1週間足らず。一年以上も買ったクラシックファンにとっては大事なウィーンフィルのコンサートと重なってしまい、どちらに行こうか散々迷った挙句、ウィーンフィルは又来るけど(実際、来年の切符もすでに確保済み)、有名歌舞伎役者をまじかに見られる機会は貴重ですから、こちらにしました。


手際よく(図々しく)最前列ど真ん中に陣取る時ができたので、ほんとに目の前で福助さんを拝見できたし、終了後はワイン付き(おつまみは無かったけど)レセプションもありワインイベントもドリンクも無料ですもん、ありがたやありがたやでございますよ。


まず福助さんが普通の背広姿でお話して下さった後、衣装替えの間に歌舞伎やオペラの衣装デザイナー桜井久美さと、常磐津と長唄の演奏者の方がお一人づつ(常磐津文字兵衛さんと杵屋五吉郎さん)説明して下さったのですが、通訳は日本文化に造詣の深い二人の中年イギリス人男性で(一人はこの手のイベントではお馴染みのDヒューズ教授)、そのまま訳すのではなくちゃんと不足部分を自分の知識で補って上手に説明してくれたのはさすが。


短い時間の中に衣装のことまで含めるのは手を広げすぎではないかと思ったのですが、桜井さんのお嬢さんが別の大学での同レクチャーのお世話をなさったことに関連あるのかもしれません。すらっとしていかにもデザイナーらしい洒落た雰囲気の桜井さんが斬新な色柄の着物をガウンのように羽織ってらしたのはとても素敵で見惚れてしまったのですが(下に写真あります)、でも果たして伝統芸紹介の場であのように着崩すのはいかがなものかという気がしたのは私だけでしょうか? ま、私たちも含めれば着物姿が軽く10人はいたので、一人くらいそういう人がいてもいいかもしれないし、それがデザイナーの誇りなのでしょうが、いきなり変化球が飛んできたら混乱しますよね。


常磐津長唄の違いについては、三味線の違いくらいは知っていましたが、的確な説明と実演でなるほどと納得。同じ場所でこないだ新内の人間国宝の実演レクチャーもあったし、(私は行けなかったけど)沖縄音楽の偉い演奏者による同様イベントもあり、三味線はここで結構注目を浴びてます。


   オペラ三昧イン・ロンドン


さて、後半は福助さんが衣装と化粧付きでぶっ続けで30分くらい踊って下さり、有名歌舞伎役者を目の前で細かいところまでじっくり見せて頂けてとても満足だったのですが、説明不足だったので、何度も扇子や手拭の小道具を変えて再登場して下さったのですが、無知な私には設定や背景がほとんどわかりませんでした。


後で福助さんがご自身のブログで書いてらっしゃるのを引用すると、(ブログは→こちら ) (ブログによると、福助さんは数日間ロンドンに滞在して大英博物館にいらしたりレ・ミゼラブルを観にいらしたりしてます)


「『老松』(常磐津)と『道成寺』(長唄・常磐津掛け合い)を合わせた『梅文字美吉俳優』を踊ります。『道成寺』は金冠・言わず語らず・毬唄・三段笠・恋の手習…かなり本格的です。」


だそうで、それでやっと少し後からわかったのですが、男役と女形の両方踊ってらしたけどこれは何の衣装なのかしら?とか基本的なことすらわからず・・・。ここに書くのに調べてる余裕もなくて申し訳ありません、なのですが、あそこにいる人たちにどれだけわかってもらえたのかしらと思うと、実に勿体ないことで、踊りを減らしてもいいからもうちょっと説明して頂きたかったです。


まあ、踊りが長かった分、写真がたくさん撮れたのはよかったですが。(やってる最中からたくさんの人が写真撮ってたので私もやっちまおう) 内容のことを書く代わりに写真のアップでお許し下さい。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン   

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                                           衣装デザイナーの桜井久美さん
オペラ三昧イン・ロンドン

       オペラ三昧イン・ロンドン

オペラ三昧イン・ロンドン


歌舞伎の出し物の中で私が一番好きなのは音楽であり、素晴らしい三味線演奏がたっぷり聴けたのは最高だったのですが、


このイベントの主旨を考えると、踊りだけでなく、ちょっとでいいからこの扮装で女形の芝居で台詞も聴きたかったです。


歌舞伎って踊りなの?と思われてしまうのも残念じゃないですか。実はこの数日後に日本舞踊の人間国宝の別のイベントもあったのですが(そちらも行きましたので後程書きますが)、両方行った人には歌舞伎役者と舞踏家の差が理解できないでしょう。


6月にロンドンで市川海老蔵公演があるので、歌舞伎の違う面もご披露してもらえるといいのですが。


というわけで、色んな意味で折角なのに勿体ないっ!というイベントでした。



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