<4月6日(火)>

イギリスのゴールデンウィークとも言うべきイースター4連休も終わってしまいました。私はそのうち3回も出社したのでそりゃあっという間に過ぎるわけですが、最後の日なんて、お昼にバレエを観て、会社で3時間半ほど仕事してその後またオペラハウスに舞い戻ってオペラを観るという慌しさ(切符は両方で計18ポンド也)。本当はバレエの前にプールに行くつもりだったのですが、朝ぐずぐずしてたら時間がなくなっちゃいました。

細切れベルリン記事を続けましょう。

---------------------------------------------

オペラ三昧イン・ロンドン


頻繁にオペラ海外遠征をなさってるdognorahさん にベルリンでダムラウとアラーニャの出るルチアクラッカーがありますよと教えて頂いたので、ベルリンはいつか行きたいと思っていたし、音楽仲間のstmargaretsさんと彼女のお友達も一緒に4人で観に行きました。dognorahさんの今回のお目当ては翌日のトリスタンとイゾルデだったようですが、私にとってはこのルチアが主目的のベルリン行き。


メモ有名なルチアってどんなオペラ? (以前の記事のコピペですが)


ウォルター・スコットの小説に基いてドニゼッティが作曲した1835年初演のこの作品は、代表的なベル・カント・オペラの一つで、舞台はスコットランド。少し筋書きの違うフランス語版もありますが、今日は一般的なイタリア語版。

ルチアお嬢様は仇敵エドガルドと愛し合っているが、兄エンリ-コは落ち目の家運を立て直すために妹ルチアを政略結婚させようして、偽手紙でエドガルドが心変りしたと思い込んだルチアは絶望して結婚を承諾。しかし、まだエドガルドを愛するルチアは発狂して婿殿を新婚の夜に刺し殺し叫び、それを知ったエドガルドは切腹自殺オバケ


古今東西、お城のお姫様にとって政略結婚は当然の義務なのに、現実離れしたお話だこと、と思うでしょうが、17世紀にスコットランドで実際に起こったことなんですって。でも、ベル・カント・オペラにとってはお話は重要ではないですから、荒唐無稽でも構わないです。


余談ですが、登場人物のファーストネームはメロディに乗りやすいようにルーシー→ルチア、エドワード→エドガルド、ヘンリー→エンリーコ、アーサー→アルトゥーロに変ってますが、苗字はそのままRavenwood, Ashtonとか英語のままなのが笑えます。


オペラ三昧イン・ロンドン
Lucia Eglise Gutierrez

Edgardo Roberto Alagna
Enrico Vladimir Stoyanov
Arturo Burkhard Ulrich 
Raimondo Hyung-Wook Lee


オペラ歌手はナマモノでちょっと具合が悪いとすぐキャンセルしちゃう人たちですから、行くと決めた11月初旬からずっと楽しみにしながらもハラハラしていたところ、ワーン、心配が現実となってしまい、直前になって肝心なルチアのダムラウが病欠あせる

代役がいっそ聞いたこともない人であれば「もしかしたらまあまあかも」という期待も持てて慰めになったかもしれませんが、よりによって9月にROHのシャモニーのリンダで聴いた下手くそソプラノということで「駄目だ、こりゃ」と一気に意気消沈。アラーニャは出るかもしれないし、今回はベルリン観光も目的なのでまだいいのですが、歌手のキャンセルには慣れっこになっているとは云え、わざわざ海外まで行くのにこの失望は打撃ですしょぼん


そんなわけで、かなり重くなった足取りで向かったベルリンオペラDeutsche Oper Berlinでしたが、旧西側のオペラハウスなのに優雅さのない味気ない劇場だったことも相まって、更にがっかりでした(オペラハウスの写真は→こちら )。


オペラ三昧イン・ロンドン


まず、30年前から使ってるセットと衣装の古めかしさにびっくり目こんな時代遅れでボロいプロダクションによくダムラウとアラーニャが出るのを承諾してくれたものです!! ルチアの衣装はまだまともで可愛らしいからいいものの、男性陣のヒラヒラ襟衣装には大笑いで、双眼鏡でアラーニャをアップで見ようとする度に吹き出してしまったわ。

男の子アラーニャは、「ダムラウの抜けた穴は俺が埋めてやるぜ、今日は俺が主役だからなDASH!」とばかりに張り切ってくれました。彼はいつも大袈裟気味で自分が主役だと思ってるので、ちょうど良かったってことなのでしょうが、一流なのは彼一人だけということは明らか。最初はちょっと声が太くて、「うー、残念、彼も絶好調ではないのかあ・・」とがっかりでしたが、途中からはぐんと良くなってお馴染みのアラーニャ節を聞かせてくれましたラブラブ! ロベルト、出てくれて本当にありがとう。あなたまでキャンセルしたらこの夜のパフォーマンスはどうなってたことか・・・


でも、遠い席だったので、ROHの舞台袖で聴くアラーニャの迫力と魅力には当然ながら全く及ばず、上出来のアラーニャであってもわざわざ遠くまで出掛けてきた甲斐があったとも思えず、海外遠征について考えさせられました。


女の子ルチアのイグレーゼ嬢は高音はかろうじて出るものの中低音がざらついて汚いのは承知っだので驚きはしませんが、やはり予想通りの下手くそしょぼん ルックスは悪くないのに芝居にも熱が入ってなくて更に減点。代役だから仕方ないのかもしれませんが、ROHのシャモニーのリンダ(→こちら )もやけにクールだった彼女、来シーズンはなんとROHのリゴレットで彼女がジルダなんだそうですダウン うへーっ、嫌だなあ。

しかもリゴレットはこの役には不向きなホロストフスキーか私の嫌いな巨顔ガヴァネッリおじさんなので見たくないけど、まだ発表されてないテノールが聴きたい人だったらどうしよう~


他は下手な人はいませんでしたが、特に上手な人もいなくてまあまあの水準。


というわけで、ルチアはダムラウのキャンセルのせいで大失望の巻でしたが、翌日のトリスタンとイゾルデは素晴らしかったので、かなり補ってもらえました。


カメラドイツではカーテンコールは最後だけでなく幕が降りる毎にされるようで、ルチアは3通りの衣装で登場。

以下の写真はクリックで拡大します(遠くからななのでピンボケですけど)


オペラ三昧イン・ロンドン
  
  オペラ三昧イン・ロンドン  

  オペラ三昧イン・ロンドン

   

      クスクスクス・・・にひひ

オペラ三昧イン・ロンドン    オペラ三昧イン・ロンドン


                                 人気ブログランキング 手裏剣