<1月18日(火)>

ケーキ今日はトーチャンの56歳の誕生日。ムスメはミニ出稼ぎで留守なので、私と二人だけの淋しいバースデーとなりましたが、せめてもとシャンペンもどきで乾杯。週末にムスメが帰ってきたら3人でレストランに行こうね。

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オペラ三昧イン・ロンドン
1月13日、Wigmore Hallで若手英国人カウンターテナーのIestyn Davies(以下イェスティン君)のリサイタルに行ってきました。


深く考えずに、去年9月にROHのバロックオペラ「ニオベ」(→こちら )に出てたイェスティン君をいたく気に入ったので切符を買っただけなのですが、実はWigmore Hallの支配人John Gilhooly氏就任10周年の記念コンサートだと直前に知りました。まだ仕事忙しいんだけど、それなら着物で行かなくちゃね。

こんな時のお助けはなんと言っても羽織と半幅帯でしょう、やっぱり、ってことで、赤い総絞りの羽織に白い着物という、日本的過ぎで理解してもらえないでしょうが、一応お祝いカラー。


このスタイルだと、コーディネートを考える際に一番迷う帯揚げと帯締めが不要なので事前も準備が簡単だし、当日の着付けも羽織で誤魔化せるので洋服着るのと大して変らないくらいでできちゃうので、6時開始のコンサート前トーク(テーマはカウンターテナー)にも行けました。


Wigmore Hallにとっては節目となる大事なイベントですから、おハイソな方々も招待されてました。Wigmore Hallのサイト→こちら でオフィシャルな写真がアップされてますが、筆頭は女王陛下のイトコである王冠1ケント公とアレクサンドラ王女兄妹。ウィンブルドン・テニスの表彰係としてお馴染みのケント公Duke of Kentは、王室きってのクラシック音楽ファンでらっしゃるようで、あちこちのコンサートやオペラで拝見したことがあるんですよ。


ありがたいことに、一般客にもふんだんにシャンペンが振舞われ、私もしこたま飲んで、ハッハッハ、30ポンドの切符代は軽く元が取れましたわカクテルグラス

オペラ三昧イン・ロンドン
音譜

肝心のコンサートはどうだったかと言うと、これが又素晴らしくて、特にシャンペンでちょっとほろ酔いだった後半は更に幸せ気分が増して、「あー、なんて幸せな夜なんでしょキスマーク」、としみじみ。私だけじゃなくて、前から3列目の隅っこの席だったので他の人も観察できたのですが、皆さん「満足じゃー、音楽もシャンペンも」という表情でした。


Iestyn Davies countertenor

Richard Egarr harpsichord



Ferrari Voglio di vita uscir Kapsberger Figlio dormi Frescobaldi Toccata Settima from Il secondo libro (solo harpsichord), Se l’aura spira Ferrari Queste pungenti spine Frescobaldi Capriccio sopra Ut, re, mi, fa, sol, la (solo harpsichord) Cesti Selino’s Lament from Argia Merula Canzonetta spirituale sopra alla nonna Porpora Oh se fosse il mio core Handel Suite No. 3 in D minor HWV428 (solo harpsichord) Vivaldi Pianti, sospiri e dimandar mercede
Encores - Handel Furibondo spira il vento from Partenope Trad. She Moved Through the Fair


こんなイベントでも内容が地味なのがWigmore Hallらしいところで、無名の17世紀のイタリア人作曲家の曲ばかりでしたが、イェスティン君の優しい歌声でしっとり聞かせてもらいました。

ハープシコード独奏も何曲かあり、いつもなら、「誰もが歌聴きにきてんのに、あからさまに水増しするなよなあ」と怒るところですが、Egarr氏の華麗なテクニックは今まで聴いた中でベスト。こんな水増しなら許せると思いました。


カウンターテナーは、テクニックもさることながら、結局は声の好みで判断するんだと思うのですが、私は、今をときめくフィリップ・ジャルスキーの華やかで艶のある声よりも、イェスティン君の丸みのある声の方が好き。特にふくよかな低音の美しさと言ったら・・・コロラチュールはジャルスキーやファジョーリには敵わないけど、確実に進んでるイェスティン君が今やイギリスのトップCTであると私は信じてます。


珍しいこの日のプログラムの中ではMenulaの長いカンツォネッタが圧巻で、アラブ風にも聞こえるエキゾチックな美しさには本当にうっとり。アンコールの最後は、今夜の主役のギルフーリー氏に因んだアイルランドの唄でしたが、これがまたしっとりとして最高キスマーク


インターバルのシャンペンのおかげもあってか狭いホールが一体感に満ちて、水準の高く、とても盛り上がったコンサートでしたキラキラ


オペラ三昧イン・ロンドン

そして、さあ、コンサート終了後は、いつものように舞台裏のGreen Roomに行ってみましょう。


おお、さすがだ、今日は例の特別グループがすでにシャンペン片手に出演者と歓談してる。私たちも一般客も又シャンペン飲めるのね。ラッキーニコニコ


   オペラ三昧イン・ロンドン


10年前、こんな若いギルフーリー氏をトップにして、由緒あるWigmore Hall大丈夫なのかしら、と心配したけど、立派に努めてくれて、今も変らぬ高いステイタスを保っています。ご苦労様。


イェスティン君はイギリス人らしい控え目な好青年で、ラブラブ!大ファンよ、と抱きつく割には出演スケジュールを把握できてない私に、「5、6月にENOでBブリテンの真夏の夜の夢に出るよ」、と教えてくれました。はい、観に行きます!


オペラ三昧イン・ロンドン

カメラ左から、イェスティン君、ギルフーリー支配人、チェンバロ伴奏のエガー氏。3人揃ってオフィシャルの写真撮影するときに運良くすぐ近くにいたので、良い写真が撮れました。

オペラ三昧イン・ロンドン               

お目当てのイェスティン君とのツーショットもばっちりラブラブ 慣れた場所とは云え、こんな大事なイベント、キャンセルするわけにはいかないし、ベストコンディションで望むプレッシャーは大きかったでしょうに、お疲れ様。


映画前の人の頭が邪魔ですが、動画も撮りました。




ということで、素晴らしいコンサートだった上、シャンペン三昧までさせてもらって、感謝の夜でしたアップ


余裕ないから、いっそキャンセルになってくれても構わないわ、などと実はちょっと思っていたのですが、こういう忙しい時こそ芸術に接するのが必要とあらためてわかったのも収穫だったかも。


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