<10th Mar Mon>

晴れ昨日の日曜日は20度近くにもなったバカ陽気。イギリスでは夏の涼しい日くらいの気温ですよ。そんな素晴らしいお天気なのに3時開演のオペラに行って暗い所で過ごしたなんて勿体なかったこと(連隊の娘)。で、また忙しい週が始って、毎日出勤なんですが、うわっ!それより遊びのスケジュールがすごいことになってて、明日からなんと5連ちゃんではないですかガーン ひとつは平日だけどマチネなのでなんとかなるでしょうけど、きついわあショック!  ブログ記事書いてるヒマないでしょうから、今日頑張って殴って書き溜めておこう。

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ENO(English National Opera)に3月2日と6日、ヘンデルのロデリンダを観に行きました。


1回目はオランダからこのオペラを観るためにいらしたブログ仲間のレイネさんとご一緒したのですが、レイネさんはすでに記事を書いてらっしゃるので、詳しいことはそちらをご覧下さい(→こちら )。


ロンバルディ王国(ミラノ)の権力争いと夫婦愛のお話ですが、この新プロダクションは1970年代~1980年代くらいに読み替えられていて、警察署らしいのですが、マフィアのアジトと思う方がぴったりの雰囲気と登場人物たちの振る舞い。

ストーリーのツボは、未亡人が横恋慕されて結婚を無理強いされるが、「目の前で私の息子を殺したら、アンタと結婚してあげるけど、まさかそんなことできないわよね」、という度胸の据わった姐御が主役なので、これを日本でやる時は任侠モノに設定したらぴったりではないかしらべーっだ!


ま、ヘンデルのオペラはストーリーはどうでもよくて、美しいバロック音楽に耽溺できればいいわけですが、大好きですからすっかり聴き惚れてしまい、1回目で94ポンドも大奮発したにも拘わらず、我慢できずに4日後にもう一度行き、ラジオ生放映にもかじりついてご贔屓歌手の部分は録音して何度も聴き、それでも足りず、こうなりゃもう一度行くぞ~走る人

ROHのような安くて舞台に近い席がないので、ENOは私にとっては金食い虫だけど、こんなことなら、ロデリンダの日は他の予定を入れなきゃよかった・・。

      



      


    


    


    


あれ、でも、いつも「ENOは全部英語にしちゃうから嫌いプンプン」、って言ってますよね?


はい、その通り。だって、歌詞とメロディは一体ですから、翻訳したら損なわれでしょ?


でも、このロデリンデもイタリア語なのを英語にされちゃってるんですが、馴染みのないのが幸いして、違和感がほとんどなかったどころか、何度も聴いてるうちにすっかりこれに慣れてしまいました。よく知ってるヴェルディやモーツァルトを英語で聴くのは嫌ですが(と言いながら、実はアイーダで唯一涙流したのは英語版・・)、ヘンデルは英語のオラトリオもたくさんあって英語が乗りやすいメロディ傾向なのかもしれないし、なんと言っても、今回は字幕を必死で読まなくても意味がわかるのがありがたいし、特にラジオ放送ではその威力を発揮しましたね。


知らないオペラで良い歌手が出てたら、今後はENOにももっと行くようになるかもしれないとまで思ってます。当日になれば高い切符の叩き売りがされるので上手くゲットすればお得だし(←おいおい、そんなことしたら、ますます忙しくなるだろうが)。



Rodelinda ..... Rebecca Evans (Soprano)
Bertarido ..... Iestyn Davies (Countertenor)
Grimoaldo ..... John Mark Ainsley (Tenor)
Edulge ..... Susan Bickley (Mezzo-soprano)
Unulfo ..... Christopher Ainslie (Countertenor)
Garibaldo ..... Richard Burkhard (Baritone)
English National Opera Orchestra
Christian Curnyn (Conductor)




    




お目当てのイエスティン・ディヴィースは本当に素晴らしかったクラッカー

上から下まで統一取れてまんべくなく出る美声がよくコントロールされ、CTにして立派な声量で、ファンの贔屓目ではなく、この日の主役はイエスティン君でした。


他の誰よりも一つ一つの言葉の意味を感情込めて丁寧に歌ってくれたのも、「英語でオペラを楽しむ」というENOのポリシーを理想的に表現して、翻訳オペラ嫌いな私ですらぐっと来て方針変わりそうなくらい。


イエスティン君の歌が上手なのは充分わかっているけど、演技も上手なのにはあらためて感心し、ますます俳優のジェームス・マカヴォイに見えてしまいました。この二人のおかげで、私はこういうタイプも好みなんだということに気付かされたし、演技が上手だと更にハンサムだわ~ラブラブラブラブ!


カメラ前から2列目の真ん中からだとカーテンコール写真がうまく撮れるのも嬉しいので、当然イエスティン君を中心にたくさん撮りました。(ROHはいつも横からだから難しいのよ)。クリックで拡大して下さいね。

    



    


二番手のCT,南アフリカ出身の若いクリストファー・エインズリー君はRoyal College of Music卒なのでイギリスのCTということにしてしまいますが、一本調子だしイエスティン先輩に比べたらまだまだ修行が足りないけど、舞台映えのする長身でハンサムな好青年なのは強味だし、誰かさんみたいに女の腐ったような声ではないので、7月24日にウィグモア・ホールのリサイタルで又聴くのが楽しみです。


もう一人のエインズリーは(綴りは違う)、イギリスでは立派な実績のあるテノールのジョン・マーク・エインズリーで、久し振りに見たらえらくおっさんになってて、声の張りも声量も以前ほどではなくなってたけど、ロデリンダに横恋慕して妙な行動に出る哀れな男を巧みに演じて、さすがベテランの実力。ラジオでは特に光ってましたね。


バリトンのリチャード・バッカードも地味ながら端正な歌唱でなかなか良かったです。

   


男性陣に比べると、女性二人は理想的とは言えなくて、同じイギリス人でもそりゃローズマリー・ジョシュアとサラ・コノリーが出てくれたら素晴らしいでしょうけど、ENOではそこまで贅沢は言えないですから、これで良しとしなくてはいけないでしょう。二人ともイギリスでは長年活躍してる知名度の高い歌手ですから。

二人とも何度も聴いたことがあり、レベッカ・エヴァンスのねっとりした声が好きではないので「うへーっ、彼女が主役でたくさん歌うのか・・・」、と心配でしたが、今回はこれまでの中では一番あっさりした声に聴こえ、「あら、美しい声じゃないの」、と思ったことも何度かあり、ほっとしたことでした。


スーザン・ビックリーの輪郭のはっきりした細いメゾソプラノ声は好きなんですが、今回は彼女の良さが充分発揮できる役ではなかったし、フルオペラで惚れた腫れたという若い女性を演じるにはかなり無理があるので損してましたね。


ENOオケはヨーロッパの古楽専門オケに比べたら色気がなくて味気ないというか、躍動感もメリハリも艶やかさも不足してるような気もしましたが、あっさり薄味で歌手の邪魔をしない演奏は私は結構好きです。


劇場の様子や、3月2日のレイネさんと着物で行った出待ちの写真は→こちら をご覧下さい。


というわけで、イエスティン君の期待以上の素晴らしさのおかげでヘンデル漬けになってる私ロボット。予想外の散財もしてますが、迷った末に今週結局行かなかったベルリンのクラウス君(ファウストの劫罰)の分を回したと思えば安いものです。


尚、3月8日にBBCラジオ3で生放映されたロデリンダはオンデマンドで1週間聴けます→こちら


    


     

上の写真4枚は、3月6日にドレス・サークルから観た時のものですが、一回目よりかなり遠い席だったにも拘わらず、イエスティン君の声はよく響き、抜きん出た実力の程があらためてわかりました。




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