<26th Aug Tue>

昨日は雨も降ったし今までで最も寒いサマー・バンク・ホリデーだったということですが、可哀相に、実は今ムスメは一週間のキャンプ・ホリディ中。こんな北国で野宿すること自体が間違いの元なのであり、毎年行ってるけどこれで懲りるかも。

昨日までのオーストリアのシューベルト祭について書き始めるのは、先週のグラインドボーンのオペラを先に済ませてすっきりしてからにしましょう。 

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8月19日、グラインドボーン・フェスティバル・オペラに着物で行き(→こちら )、ヘンデルのリナルドを観ました。


このロバート・カーセンのプロダクションは3年前のプレミエでリハーサル(→こちら )とドサ周り版(→こちら )をすでに観てるので、これが3度目。  カメラ以下の写真はクリックで拡大します。


    


エルサレムが舞台の中世の騎士リナルドの恋と冒険のお話を、カーセンはいじめに合ってる高校生の妄想に置き換えてコメディ仕立てにするという斬新なアイデアは大いに気に入ったのですが、こういう奇をてらう読み替えは何度も見てると新鮮さがなくなるわけで、今回は元の設定で観てみたいものだと今回感じてしまいました。


プレミエの時はカーセンがしっかり演技の指導もしたんでしょう、皆さん大袈裟に演じて大爆笑でしたが、今回は、私が飽きたせいばかりでなく、なんだか地味だったような・・・。


Conductor
Ottavio Dantone
Director Robert Carsen
Revival Director Bruno Ravella
Designer Gideon Davey
Movement Director Philippe Gireaudeau
Lighting Designers Robert Carsen and Peter Van Praet


Rinaldo Iestyn Davies
Goffredo Tim Mead
Eustazio Anthony Roth Costanzo
Almirena Christina Landshamer
Armida Karina Gauvin
Argante  Aubrey Allicock(Joshua Hopkinsの代役)
A Christian Magician James Laing

Orchestra of the Age of Enlightenment



それでも、大枚はたいて(115ポンドがま口財布)行った価値が充分あったのは、もちろんご贔屓カウンターテナーのイエスティン・デイヴィスがタイトルロールだったからで、3年間首を長くして待ってたんですよ。



童顔のイエスティン君は高校生の制服があまりに似合い過ぎてつまらないくらいなんですが、歌は全く想像通りでも初めてなので凄く楽しめて(好きな声だから何度聴いても楽しめるんですがドキドキ)、運よく最前列のど真ん中の席をゲットできて本当に良かったとつくづく思ったことでした音譜


  
この席は、指揮者の頭が邪魔になるので嫌われてる席なんですが、だからこそここだけポツンと余ってて会員でもない私でも買えてわけだし、まるでレイネさんと私を待ってるような席だったのも感激ラブラブ!。座ってみたら実際に指揮者の頭がかなり邪魔だったのですがむっ、幸い隣が二人来なかったので途中から席を替わってちゃんと見えたのも更にラッキーだった上、その空いてる席にはイエスティン君の友達カップルが最後だけ座って楽しんだので、それを指示したイエスティン君を含め皆ハッピーアップ


しかし、贅沢を言えば、歌は素晴らしくてもイエスティン君の演技も控え目過ぎたし、全体としてはプレミエの方が良かったような気がします。


特に残念だったのは、魔女アルミーダ役のカリーナ・ゴーヴァンで、歌は過去の二人よりも細かいところもきっちりでずっと上手なのに、コメディ演技が丸っきりできてなくて、使い方によっては笑いを取れる筈の折角の体型を活かせませんでした。

   


彼女とは悪役コンビとなるアルガンテ役は代役だったせいか、歌うだけで精一杯という感じで演技にまで気が回らずだったのは仕方ないか。


しかし、この二人がぱっとしないとレベルが下がってしまうわけで、プレミエの絵になる大柄美男美女コンビ(ルカ・ピサローニとブレンダ・レイ)の主役を食ってしまうほどの魅力と迫力に迫るのは無理としても、今回の演技指導者には大いに苦情を言いたいです。


     


まあ、演技よりは歌唱の方が大事なわけですが、二番手カウンターテナーのティム・ミードがこの日は不調だったのは残念でした。

バービカンのテオドーラ(→こちら )ではイエスティン君と並ぶくらいにまで成長したかに思われたイギリス人のティム君、声量も乏しくて声に張りもなく、自分でも不満足だったのでしょう、カーテンコールではあからさまに無愛想で悲し過ぎる表情むっ

でも、この日もいらしてて、更に次の公演もご覧になった方によれば、ティム君はすっかり復活して素晴らしかったそうですので、よかった、よかった。今年のメサイヤを楽しみです。


今回はカウンターテナーが3人出てて(厳密に言うと4人)、プレミエでティム君がやった役を歌ったのはアメリカ生まれのアンソニー・ロス・コンスタンツォで、すでにNYメトで大きな役が付いてるし、なんと今年市川海老蔵と「源氏物語」で共演ビックリマークしたこともあるというから(→こちら )、大躍進中なのでしょう。


それを考えるとこの日は絶好調ではなかったのではないかと思うのですが、よく通る声は大劇場でも通用するのはわかります。


でも、カウンターテナーって最後は好みの問題なんですが、アンソニー君の細くてまるで子供みたいな声は特に私にはアピールしませんでした。男の裏声という不気味な存在のCTであっても、ふくよかで大人の色気(中性的な)を感じさせてくれる声が私の好みなもんで。


というわけで、3人(厳密に言うと4人)のカウンターテナーの競演を楽しみにしてたのに、結局イエスティン君の独壇場となってしまい、あらためて安定したイエスティン君の実力がわかったのでした。


3年待ったイエスティン君のリナルドを最短距離から観ることができたばかりでなく、理想的な天気で派手な訪問着も着られて、レイネさんと二人で褒め千切られてクラッカー、とても幸福な一日でしたニコニコ



そして、つい最近、グラインドボーンの来シーズンの演目が発表となり(→こちら )、我らがイエスティン君がヘンデルの「サウル」でまた出てくれるので、新プロダクションでもあり切符争奪戦になりそうですが、是非またレイネさんと着物で行きましょうね、と今から張り切ってますDASH!


メモレイネさんがグラインドボーンとリナルドについて私よりずっと丁寧に書いて下さったブログ記事は(→こちら と→こちら )です。




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