3月18日(日)の夜、ROHで去年11月に脳腫瘍で亡くなったホロ様のメモリアル・コンサートがあり、運良くオーケストラ・ストール最前列真ん中で聴く事ができました。切符は一律25ポンドで、アンフィは利用せず、後でストールサークル立見が10ポンドで出ました。

 

このイベントのことは急遽発表になったのですが、ROHにしては凄い顔ぶれであることを考えると、かなり前から計画してたのかもしれませんね。  前以て内容が全くわからなかったのですが、マクベスのリハーサルでロンドンにいる筈のネトコ夫婦が出てくれるといいなあと期待していったら、なんとゲオルギューガランチャまで出てびっくりびっくり  ネトコ夫妻以外はわざわざ来てくれたってことだし、ネトレプコとゲオルギューが同じ舞台に立つなんて凄いでしょ叫び

 

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但し、ルチッチは風邪ゲホゲホでキャンセルし(もうすぐ始まるマクベスまでに治ってね)、コスタス君が代役でパールフィッシャーも歌いました。 インターバルなしで一時間半と書いてありますが、実際には2時間掛かりました。 進行係はイギリスでは有名なコメディアンであるビル・ベイリー。 ロンドンでホロ様一家の長年の隣人だったそうで、湿っぽくならないように笑いを取ってくれました。

滅多に座れないこの席に座れただけでも幸せなのに、 予想外の豪華ラインアップチョキ 但し、指揮者の斜め後ろだったので、ガーガーうるさいパッパーノ大将の時は気が散りました。

 

 

 

「ねえねえ、悪趣味な衣装で揃えましょうよべーっだ!」、と談合したのではないかとすら思うゲラゲラおばさんソプラノ3人(ネトコ、アンジェラ、スミ・ジョー)、勝ったのはスミ・ジョー、2位がアンジェラ。ネトコはただつまんないだけで力が入ってなさ過ぎむっ。 でも、3人ともえらく老けて、もし洒落たドレスで出てきても、若くてピチピチのアイーダ嬢には到底叶いませんね。 ガランチャは「よかった、私はコーラスの人と一緒だから黒着なくちゃいけなかったもんね」。

 

メモざっと、歌手の印象を書いてきます。

女の子

ネトレプコが歌うと蝶々さんの有名な「ある晴れた日に」が迫力ある大アリアに聞えたのはさすがですが、ロシア人じゃない人もなるべくロシアもの歌ってくれたんだから、ここはやっぱりネトコさんもロシアにして欲しかったです。でも、NYメトのガラで歌った蝶々さんをロンドンで聞けて最高。ぼかしの入った青いドレスの色は素敵だけど、上半身がもたつくデザインだし、これはほっそりした人でないと・・。 なんだか老けてでっぷりしてみえたネトコさんでした。

ゲオルギューにはこの曲が一番合ってると思うし、音程が下がり気味なのも彼女らしくて良いです。 彼女の残念なドレスは何着か見てますが、これもねえ・・・。 そのせいではないでしょうが、今までで一番老けて見えました。

黒いシックなドレスが素敵なガランチャでしたが、まるでコーラスの一員程度にしか歌わず、折角出てくれたのに勿体なさ過ぎ。 ドン・カルロのエボリ聴きたかったわあ。

おばさん達の中で若さと愛らしさが引き立った売れっ子アイーダちゃん。ホロ様最後のコンサートで共演したのはつながりだそうですが、聴いてみたいソプラノだったので、私はとてもハッピー。

スミ・ジョーとホロ様のつながりについては知りませんでしたが、かつて二人でコンサートをしてたそうですね。でも、彼女はルックスだけじゃなく、やっぱり声も盛りが過ぎたかな・・。 この人に地味な格好をしろと言っても無理でしょうが(それはそれで良いんですが)、このピンクのドレスは忘れられません。

現ROH若手アーチストの中ではぶっちぎりに上手なロシア人メゾのAigul Akhmetshina、選曲もドレスも歌唱も遠慮し過ぎて地味になってしまい、実力が出せなかったのは残念。

 

男の子

華やかな女性群に比べると知名度でも劣勢のようにみえる男性陣でしたが、意外に良かった人もいました。

ユシフ(ネトコの夫)を聴くのは初めてですが、皆さんが昔は醜い爆声だったけどかなり改善してると仰ってる通り、全然不快な声ではありませんでした。それどころか、コーラスを従えてても全くかき消されることなく突き抜ける声量は凄い! 特に好きな声ではないけど、丁寧で真心こもった歌唱は立派で、見事なロンドンデビューでした拍手

コステロ君は、ロシア語のクーダクーダはぱっとしなくて音程も不安定だったし絶好調とは言えなかったけど、彼の声は大好きだし、2曲も歌ってくれて嬉しかったです。

バリトンのボリス・ピンカソヴィッチ、全く知らない人ですが(ガランチャとスミジョーに挟まれてる)、まじめに一生懸命歌って好印象。そう思ったのは私だけではないようで、台脇に引っ込んだら仲間たちに喝采されました。ああ、でも歌は良いのに、地味なルックスだからどんな役やってもぱっとしないでしょうねえ・・。 気の毒。 

コスタス君は好青年だし、声も色気があっていいのですが、声量がね・・。元ROH若手アーチストだった頃から進歩してないのが残念です。

 

おいでゲオルギューがなにしてるかと言うと、パッパーノ大将をネトレプコが舞台袖に迎えに行った時に必死で「こっちよ、こっちよ!」、手招きしてたんです。自分ができなかったのが口惜しくて、せめて隣に立って欲しかったのでしょうか? ディヴァ同士で火花が散るのを調整して、カーテンコールの立ち位置とか決めるのも難しいでしょうね・・。

花束最後になりましたが、ホロ様のこと。

 

ロンドンに住んでた彼はよくROHに出てくれて、ご存知のように私はファンではなかったけれど(バリトンには興味なし)、彼が好きだと仰る方の気持ちは理解できるし、あらためて皆に愛されてた惜しい人を亡くしたということは感じました。好きではなくても、何度もこの舞台で見たわけですから、その姿と声は私の記憶にしっかり残ってて、亡くなったということが実感できなかったのですが、最後の最後になって(カーテンコール後)、彼の衣装が舞台に置かれ、スクリーンにその美しい軍服を着て歌うホロ様の映像を見たら、なんだか急に悲しくなって・・しょぼん。 それはホロ様に合ってる役で一番格好も良かったトロバトーレのルーナ伯爵(2002年)。 静かで感動的なエンディングでした。 

そう言えば、奥様が舞台に登場して短いスピーチをした時に「彼は生きたい、生きたいと言っていた」ということを、これを書きながら思い出して涙している私です。RIP

 

私が撮った最後のホロ様(2015年12月のオネーギン→こちら)。