<21st Jun Tue>

王冠1お祝いお祝いケーキ今日はウィリアム王子の40歳の誕生日。先日街でホームレス支援の雑誌を売ってた写真で庶民に寄り添う姿をアピールし、誕生日祝いは延期したそうです。そりゃ、そうでしょう。今日のイギリスは旧国鉄のストライキに地下鉄も便乗して公共交通はほぼ完全マヒで大変なことになってますから。私も被害を受けました。すごく行きたかったパヴェル・コレスニコフがベートーベンのピアノコンチェルト5番「皇帝」を弾くのを楽しみにしてたのに行けず・・。おまけにカドガン・ホールはバウチャーにもしてくれず泣き寝入り(同じオケの他の行きたくもないコンサートには変更してくれましたが・・)。旧国鉄ストは今週あと2回あり、ROHで楽しみにしてたオペラも中止になりがっかり・・。

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6月18日の土曜日のマダム・バタフライのマチネは着物仲間と三人で行って受けたし、(→こちら)、ステージドアで指揮者のエッティンガーと会った時にそこにいた誰かが撮った写真が彼のFBに載ったり、着物で行くには理想的なオペラで目一杯楽しみました。特にこの日は、特別な安いオファーが直前に出て、本来は200ポンド以上のところを50ポンドでなんとオーケストラ・ストールに座れたのです。 

 

2列目からまじかに観られてとても嬉しかったです(双眼鏡も使用)。中村恵理さんは代役だったのですが、悲劇のヒロイン蝶々さんをドラマチックに演じて素晴らしかったです拍手。恵理さんがROHの若手アーチストだった時は全部観て、特にネトレプコの代役をやった時や最初から主役に抜擢されたフィガロの結婚が印象的で、その頃は当然乍ら緊張してるのがいつも感じられましたが、あれからあちこちで経験を積んだ恵理さん、この日は落ち着きと余裕が感じられ、成長ぶりがよくわかりました。日本人の蝶々さんを生で観たのは初めてだったのですが、多少ヘンテコな衣装でも恵理さんの振る舞いやちょっとした仕草が日本的でしっくり来る蝶々さんでした日本

4回代役出演するうち、この日が最初だったので、熱狂的なブラボーの中で感極まる恵理さん。ナイフ自害する直前に息子に歌うアリアでいつも私は涙腺崩壊えーんですが、カーテンコールで嬉し涙に変わったかも。

 

席で立って後ろを振り向くとこんな眺め。「あら、着物の人がはしゃいで写真撮ってるわ。日本から初めてここに来たのかしらね?」と思われたかもゲラゲラ。恵理さんのFBによると、客席にいたパッパーノ大将が彼女に「日本からもお客さん来てたよ」と言ったのは私たちのことかもですよね?

Music Giacomo Puccini/LibrettoGiuseppe Giacosa and Luigi Illica/Directors Moshe Leiser and Patrice Caurier/Set DesignerChristian Fenouillat/Costume Designer Agostino Cavalca/Lighting DesignerChristophe Forey
 
Conducted by Dan Ettinger
Cio-Cio-San Eri Nakamura replaces Lianna Haroutounian
Lieutenant B.F. Pinkerton Gianluca Terranova
Sharpless Gyula Nagy
Suzuki Patricia Bardon replaces Olesya Petrova
Goro Alexander Kravets
Imperial Commissioner Dawid Kimberg
Prince Yamador iAlan Pingarrón
Kate Pinkerton Rachael Lloyd
Bonze Jeremy White
 
 

   

 

  

 

指揮者のダン・エッティンガーをすぐ近くからずっと観られたのも、この席ならではの特権。恵理さんが出てない時は彼を見てました。
 

 

  

ピンカートンのテノールGianluca Terranovaは小柄でルックスもナンだし歌が最初しょぼかったのでがっかりでしたが徐々に良くなって、最後は正統派の歌唱でなかなか良かったです。カーテンコールで大ブーイングだったのは歌が下手だったからではなく、「この野郎、蝶々さんを悲しい目に合わせやがってパンチ!」ということで、いかに恵理さんに皆が感動したかという証拠ですしね。

女中のスズキ役のパトリシア・バードンは結構有名な人ですから、期待通り上手でした。

    

蝶々さんに求婚するプリンス・ヤマドリは盲目のROH若手アーチスト。

 

実は6月11日のリハーサルにも行ったのでしたが、Aチームと言うべきキャストで、恵理さんの日と違う歌手だけリストアップしますと、
Cio-Cio-San LIANNA HAROUTOUNIAN
Sharpless LUCAS MEACHEM
Suzuki KSENIIA NIKOLAIEVA
 
リアンナおばさんはここには大役で何度も出てる美声のソプラノですが、この日も美しい声で恵理さんとは違う蝶々さんでした。
テノールは同じ人で、やはり最初は貧弱でしたが、最後は結構良かったです。
シャープレス領事のルーカス・ミーチェムは2012年のフィガロの結婚の伯爵、2014年のセヴィリアの理髪師のフィガロ、2015年のラ・ボエーム等、ここで主役級で出てる長身でハンサムで結構好きなバリトンです。この日も素晴らしい声と演技で今まででベストなシャープレス役。恵理さんの時にも彼だったらよかったのに・・。
スズキはここの若手アーチストのウクライナ人で、いつもは声量あるのにやけに小さな声だったので、リハーサルだから本気出さずにセーブしてるんだと思ったら、本番はキャンセルしたので、きっと具合が悪かったのでしょう。ウクライナの国旗を全身にまとってカーテンコールに出たりしてる人ですが、又の機会に頑張って下さいね。
 

 

まともだけどすっきりし過ぎて工夫のないプロダクションだしダウン、今更マダム・バタフライでもないかとパスしようかとも思ったのですが、リハーサルも直前に良い席が買えたし、まさかのオーケストラストールにも座れて贅沢気分も味わえましたドキドキ プッチーニはあまり好きではないですが、これは良く出来た作品だとあらためて思いました。

 

因みに、先回は2015年で、オペラ界きっての美女であるオポライスのそれはそれは見目麗しい西洋人形のような蝶々さんでした。