早くもロイヤルオペラハウス(以下ROH)の9月からの新シーズンの切符の会員申し込みの時期になりました。

今回は9月から11月までの予約期間です。多額の会費を払っている上のランクの会員はすでに購入済みで、一番下っ端の会員に順番が回ってきたのです。この最低ランクでも年間72ポンドもするので、馬鹿にはならない金額でしょ? そのすぐ上だといきなり290ポンドになってしまい、これは私には絶対無理。

一年のシーズンの初日はニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスやミラノのスカラ座ではは正装イベントだそうですが、ロイヤルオペラハウスではそんな華やかな雰囲気は残念ながら一切無し。それでも2年前までは人気歌手が出ることが多かったですが、去年のオープニングなんてコンサート形式でしたよ。舞台セットも衣装もなく、特に有名な歌手が出たわけでもなく、一年で一番地味なイベントだった・・・。


どれどれ、今年はどんなのかな~? 

① ドニゼッティの「ポルトガル王セバスチャン」をコンサート形式で

え~っ!! またコンサート形式でスタートするの~? 

それに何これ、いっちども聞いたこともないよ。

去年は「ジョコンダ」という有名なオペラで、設定のスケールが大き過ぎて実際に舞台にしようとするとすごく費用が掛かるので、それならいっそなーんにも無しで、あなたの想像の中で思い切り豪華なセットを作り上げて下さいねというスタンスだと私は努めて好意的に取ってあげたけど、また今年もと言われると、なーんだ経費ケチっただけだったのね。

コンサート形式といういのは、やる方も聴く方も歌にだけ集中できる分ピュアで、ある意味すごい緊張感もあり素晴らしい体験できることが多いので私は好きですが、それはオペラ用にできていない他のコンサートホールでやるべきものであって、オーケストラピットがあるオペラハウスがやると、なんかケチ臭いわよね。

ドニゼッティだから、美しくて聞きやすいメロディのベルカント・オペラなんだろうけど、ほとんど上演されないということは、印象に残らないつまんない作品である可能性が大きいと覚悟しなくちゃね。でも出演者は悪くない。というか、良い歌手が出ないと切符は売れない。

メゾ・ソプラノのトップの一人である個性的な声のブルガリア人のヴェッセリーナ・カサローヴァ、新作オペラ1984年の主役だたイギリス人バリトンのサイモン・キーンリーサイドとベテランのイタリア人バリトン、レナート・ブルソン。ブルソンは日本にはよく行くけどロンドンには全然来てくれないので、やっと聴けるのが楽しみ。ピークは少し過ぎてるかもしれないけど。サイモンは得意な芝居なしの歌だけの勝負でいつもよりちょっと不利。もちろん充分上手なので心配はしてませんが、でも自慢のカラダは見せてもらえないだろうなあ。燕尾服途中で脱ぐわけにいかないもんね。

因みに、コンサート形式と言っても実際にはまちまちで、衣装もセットも全くなくて歌手が横に並んで楽譜を見ながら歌うだけのものから、椅子とテーブル程度で雰囲気を出してフル衣装で芝居入りというスタイルまで色々見たことがあります。 ROHでドヴォルザークの「ルサルカ」という人魚姫の物語のオペラをやったときは、セットも衣装はなかったけど、フルに芝居もしてる人と楽譜を見ながら歌ってる人が混じってて、妙ちくりんなパフォーマンスでした。

これは舞台を見る必要がないので、いつものう横の上の席でいいでしょう。
それなら5ポンドだ。


② プッチーニの「西部の娘」


オペラには珍しい西部劇。ゴールドラッシュ時代のカリフォルニアが舞台の酒場の女主人とならず者のロマンス。ドミンゴのビデオを観たことありますが、やっぱりすごい違和感! カウボーイがイタリア語で歌うんですもの。まあそんなこと言ったら、「蝶々夫人」は和服姿でイタリア語だし、「カルメン」ではスペインの闘牛士がフランス語で歌うのも同じと言えば同じだけど。でも、そう言えば70年代の初めごろでしたっけ、マカロニウェスタン映画が流行りましたね。あれも変だった。まさかプッチーニのこのオペラをヒントにしたわけではないでしょうが。

アルゼンチン人の人気テノール、ホセ・クーラが出るので、彼目当てで切符の売れ行きは良い筈だ。クーラは長身で一応ハンサム。あの濃い顔立ちは私の好みじゃないし、ナルシストでええかっこしーだから、なんだこいつ、と思うときもあるし、ふーん結構上手いじゃいないのと思うときもあるし、好きなのかどうかよくわかんないや。


jose cura

クーラは目も鼻も(特に鼻が)大きくて造作の派手な顔だし、芝居も大袈裟だから、そんなに近くで見なくてもいいかなという気もするし、この舞台は写真で見ると随分まともで奥行きもありお金も掛かっていそうだから、多少後ろでも全体が見える席にしましょうかね? ホコリをはらって10年振りにお目見えする舞台セットだそうです。 


(5つのうち2つ書いただけで長くなってしまったので、続きはまた今度)