4月12日、バービカンでのLondon Symphony Orchestraのコンサートに行きました。ロンドン交響楽団の成り立ちや過去の指揮者等についてはLSOとは (日本語)でご覧下さい。


演劇

指揮者 Daniel Harding

pianist Lang Lang


Pierre Boulez Memoriale

Maurice Ravel Piano concerto in G

Luke Bedford Outblaze the Sky (臨時追加/世界プレミエ)

Hector Berlioz Symphonie fantastique



珍しくバルコニーの最前列(枚数割引後で10.8ポンド)。たいていかぶりつき席に座る私がなぜここに座ったかは後で書きます。

全部フランスの作曲家(臨時参加のBedfordは除く)の作品ですが、一曲目は数人による小編成の現代曲で、いつものBoulez、よくわからないとしか言えない類。

2曲目のラヴェルのピアノ協奏曲は、古典的で叙情的な第二楽章が有名ですが、前衛的ジャズっぽい他の楽章とのアンバランスがユニーク。

若い中国人ピアニストのランランを聴くのは初めてです。中国人ピアニストとしては容貌ではユンディ・リー に負けますが、ランラン君はリズムの乗りもいいし、第二楽章はひたすら美しく感動的で、充分上手なのはわかるのですが、いかんせんこの席からでは細かいところが聞こえません。ピアノから2,3メートルのいつもの席ならピアニッシモはもちろんのことピアニストの呼吸まで聞こえるわけで、やっぱりソロは近くで聞かなくちゃ駄目ですね。それはわかっていたのですが、まあランラン君はリサイタルでじっくり聴けばいいわと思ってました。実際、秋のロイヤル・フェスティバル・ホールのリサイタルは気合を入れて至近距離のベスト席を確保してありますので今から楽しみです。



休憩後はさあお目当てのベルリオーズ、と思ったら、サプライズの臨時演奏だって。まだ20代のイギリス人作曲家Luke Bedfordの作品Outblaze the Skyで、演奏の前に作曲家が説明してくれました。朝から着物着てて疲れてておまけにお腹も空いて早く帰りたい私には決して嬉しいサプライズではなく、またどんな難解で一人よがりなものを聞かされるのかとぞっとしましたが、シンプルで聞きやすい曲でやれやれ。


イギリス人のダニエル・ハーディングは今31歳。え、ついこないだ20代前半の若手だったのにいつのまに30過ぎたの?って驚きましたが、うんと若いときからサイモン・ラトル(現ベルリン・フィルの常任指揮者)に丁稚奉公して、LSOを初めて指揮したのがなんと19歳のケンブリッジ大学時代で、おまけに21歳でベルリンフィルを指揮したこともあるという年の割には長いキャリアの持ち主です。


オペラの指揮はROHで何度か見ていますが、コンサートで観るのは久し振り。初めて見たのは6、7年前のバービカンのLSOでしたが、とても印象的だったのでよく覚えています。とくにRシュトラウスの「ツァラツストラはかく語りき」はエネルギッシュで素晴らしく、終わったときにLSOのメンバーがとても嬉しそうな顔をしてこの若い指揮者に拍手を贈ったのです。その時のハーディングの指揮ぶりはすさまじくて、体も顔の表情も指揮をする喜びと若いエネルギーが溢れていて、うんと膝を曲げてまるでスクウォットしたり、背伸びしたりぴょんぴょん跳ねたり。私は彼のすぐ後ろにいたのですが、圧倒されました。




そんなヤンチャ坊主のハーディングも家庭を持ち、主にヨーロッパ大陸での活動が多かったのですが、今シーズンにLSOの主席客演指揮者Principal Guest conductorに就任し、これからは故国イギリスでの演奏が多くなりそうで楽しみです。私が切符を買ってあるのはバービカンの今年12月のコンサート形式のオペラ「ビリー・バッド」(Bブリテン)で、イアン・ボストリッジ目当てなのですが、ハーディングの指揮も楽しみです。


音譜で、今回のベルリオーズの幻想交響曲

一度も生で聴いたことがなかったので、この曲をちゃんと聴こうと思い、しかも曲の華やかさがハーディングに合っているかしらとも思ってバルコニー席にしたのです。かぶりつき席だと、最前列の人でさえぎられて後ろには一体どんな楽器の人が何人いるのかすら見えませんからね。

壮大で華やかなこの曲をハーディングがどんなに派手に身振り手振りでエネルギッシュに指揮してくれるのかしらと期待でワクワクでした。


が、しかし、出だしはスロー過ぎたのが原因か、なんか沈んでて、「こんな曲だったっけ?」とちょっと失望。

でも次第にピッチを上げ、お馴染みのメロディも出て来て、最後は素晴らしい盛り上がりとなりました。最初からそうしてね、と言いたいですが、もしかしてあの臨時の新曲でコンサートのリズムが狂ったのかしら?


こういうジャジャーンという曲なら、さぞハーディングは飛んだり跳ねたりするのかと思ったらそんなことはなくて、それでも普通の指揮者に比べたら動きは大きいのでしょうが、あの数年前のアクションマンはどこへ消えたのか、大人になった彼はごく常識的に振る舞い、まあそりゃそうでしょうね、と納得した私です。




尚、LSOとランランのチームはこの後すぐアジア・ツアーに旅立ち、4月16日には東京オペラシティでコンサートです。このコンビなら人気あるでしょうし、ショパンのピアノ協奏曲とハーディングお得意のマーラーですから、LSOのためにも成功を祈ってます。評判をお聞きになったら教えて下さいね。


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