7月2日、ロンドン大学SOASでのThe Essence of Kabuki Music「歌舞伎音楽-長唄と囃子に焦点を当てて」という無料の実演付きレクチャーに行ってきました。



演奏は前日に日本から到着したばかりのプロの長唄軍団9人で、唄2人、三味線2人、鳴り物5人という小編成ですが、かぶりつき席で聴くとすごい迫力。歌舞伎を観ても一番気になるのが音楽という私には嬉しいイベントです。


日本語ペラペラのロンドン大学音楽科教授は私たちが2週間前にケンブリッジで日本舞踊の伴奏をしたときにも説明してくれた人ですが、日本音楽に造詣の深い彼が自分の知識で初心者向けにざっくり解説し、更に演奏者との質疑応答で楽器の説明など手際よく通訳してくれました。


私はかつて日本でお琴と三味線で地唄を習ったので少しは邦楽に馴染みがあるわけですが、長唄や能については無知なのでほとんど「おお、そうなのか」でしたが、その中でも「へえ~っ」と印象に残ったのは鼓の調整。大鼓は乾いた音を出す為に演奏前に2時間も火鉢で温めて湿気を飛ばし、反対に小鼓は湿気が必要なので和紙を舐めて貼ったり直前に息を吹きかけて湿り気を加えるんですって。


聴衆は日本人が多く、実際に歌舞伎を観たことのある人も3分の1くらいいたのですが、こんな形で接する機会は滅多にないわけで、とても面白かったです。うちの娘も一緒に行ったのですが、歌舞伎は全く知らない彼女もとても楽しんだようです。(私は歌舞伎座に何度か行ったことがあるのですが、今度は娘も連れて行ってあげましょう)


解説が長かったので全曲演奏は「吉原雀」「鏡獅子」「綱館」の3曲だけでしたが、レクチャー前にただ漫然と聞いた一曲目に比べると、当然乍らあれこれ教えてもらってから聞いた後半の曲は興味百倍。

個々の楽器の音が個別に聞こえるし、「あ、小鼓の人が又ハアっと息吹いてる~」と親しみが沸きます。


近過ぎて9人の皆さんを写真一枚に収めることができませんでしたが、鼓の紐を引き締めるときの音までよく聞こえた私好みの至近距離。

     

恋の矢紋付袴姿も凛々しく、やっぱり日本男子が一番格好良く見えるのは和服です。だから、ケンブリッジでは黒の紋付袴だった教授も、今日は敵わないと思ってか洋服でした。

それに、皆さんさすがに姿勢も身のこなしもぴしっとしているだけでなく、長時間正座してても平気って、達人だ。


他の人が喋っている間、目を閉じてらした方も時々いて、「あ、もしかして時差ぼけでこっくりしてるのかな?」とちょっと疑ったりもしましたが、そうだとしたら(ちがうとは思いますが)、姿勢を崩さずお行儀良く居眠りできるって更に凄い。私なんて10分でピリピリよ。雷



  
こういう和風イベントはやはり着物の出番じゃないですか?雰囲気を盛り上げるのにお役に立てるかもしれないですもんね。でも、学校という場所柄、あまり浮いてもいけないと思い、雨も降ってたので、紬風の洗える着物にしました。帯は最近譲って頂いた白地に花と蝶。

私に色目を合わせて下さったぴかさんは単衣の紬。


日本からいらした関係者の女性何人かが着物をお召しで、そういう本物の方は当然身のこなしも洗練されてますから、私たち倫敦ニセモノ着物組はちょっと気がひけました。


7月4日には、この方々が出演なさった日本舞踊と長唄のちゃんとした公演にも行って来ましたが、それは又あらためて。


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