我が家のイタリア旅行に関心を示して下さって、ありがとうございます。旅の準備のイタリアねたは時々アップすることにして、旅行前に溜まっているオペラとコンサートの記事を片付けなくては。
すでに順序が滅茶苦茶なので、できるものからやっつけませう。
7月20日午後、ロイヤルオペラハウスのコンサートに行ってきました。
ROHの若手アーチスト育成プログラムの一年間の成果をご披露する発表会で、切符代もいつもよりはぐんとお安くて、舞台袖で15ポンド。
満席の客席には、出演者の親戚縁者の他、他のオペラハウスのスカウトさんたちも来てるらしいので、若手の皆さんはそりゃ張り切ったし、この舞台には慣れているので堂々としたものでした。
今シーズン最後のオペラチックなイベントですが、華やかにフィニッシュ!というよりは、場所が空いたからトレーニーにやらせてあげるってところでしょうか。本イベントではないようで、ROHオケは前日で今シーズンの契約が終わったので皆さんさっさとおさらばしてしまい出てくれなかったくらいです。代わりにOpera Northオケがなにやら交換条件で喜んで来てくれたそうですが、このイベント用の予算はゼロだし、オペラハウスの好意にすがるしかなくて、苦しいんだそうです。
などということをなぜ私が知っているかと言うと、コンサートの前に30分間、責任者や舞台監督たちの無料トーク・ショーがあったからで、それによると、「フィガロの結婚」のセットは使わせてもらえたけど、衣装も貸してくれるって話だったのに、前夜の最終日が終わってから寸法直すのは無理だってことで急遽自前の衣装になってしまったんですって。
で、その自前の衣装というのが、受けねらいでハメを外した人もいました。その方が面白かったし、学園祭の乗りだと思うことにしましょう。
2001年開始のこの若手育成スキーム、歌手を中心に指揮者や演出家ら毎年10数人が2年間在籍し、歌手はオペラの端役でこき使われているので、皆さんお馴染の顔です。
多数の歌手に見せ場があってコーラス不要という条件を踏まえながら、今年選んだ演目は3つ。
フィガロの結婚(モーツァルト)は前日までやっていて、メンバーはアンダースタディとしてスタンバってし、セットや衣装も借りられるかも、という当然のチョイスでしょう。私は3度も聴いて食傷気味ですが、一流の人たちと比べることができたのはグー。
カプリッチョ(リヒャルト・シュトラウス)は去年の9月にパリのガルニエで観たオペラで(そう、あの着物でパリ日帰り
)、それ以外にも実は去年の秋だったか、ROHの地下の小劇場のワークショップで同じ人たちがカプリッチョをちょっとやり始めたのを観ているので、ことさら興味深かったです。「音楽と歌詞とどちらが大事か?」ということを論議するだけの内容で、アリアがあるわけではないのですが、色々と深読みもできそうな知的なオペラなんですよ。
Il viaggio a Reims(ロッシーニ)の短いシーン、オペラの内容はわからないのですが、ロッシーニらしく楽しくコロコロして華やかにフィナーレ。
尚、私は初めてだったので去年までの様子はわからないのですが、去年まではオケが舞台で演奏していんだそうですが、今年はオケピットに入ってもらい、舞台にはフィガロの結婚から借りた貴族の舘の窓セットにテーブルと椅子を置き、歌手は所狭しと動き回って目一杯お芝居もしてくれました。
ちょい役でお馴染の人ばかりであっても、少しであってもこうやって主役をやると又ちがって見えまするのですが、ざっと私の個人的な好みを全面に出した評価はこちら。
すでに世界的に活躍している同胞のキムチ君(Wookyung Kim)に似たリリカルな美声で一番ご贔屓にしてるのは韓国人のJi-Min Park。歌は上手いけど、なんだかいつもふざけてるような表情が問題かも。東洋人ってだけで浮いちゃうんだから、控え目にしないと駄目よ。
それはパ-ク君自身もわかっているのか、この頃はおふざけ役を歌はそんなに上手くない中国人テノールのHaoyin Xueに譲ってるみたいで、こないだのナクソス島のアリアドネも専ら彼が ピエロだったし、チャイニーズ君の今日の衣装を見て下さいよ
黒のプレスリーコスチューム、ぴったりサイズだからおそらく彼の自前なんでしょうが、このために作ったというのなら偉い(?)けど、前から持ってたとしたら、これ以外でどんな事をしているのやら・・・。
バリトン&バス4人
声に個性もあって存在自体に華のある一番の成長株は、こないだトスカのアンジェロッティ役で光ったリトアニア人のKostas Smoriginas。来シーズンも楽しみです。その後はどこかのオペラ ハウスでちゃんと活躍できるでしょうけど、できればROHにたくさん出てね。
フィガロをやったポーランド人のKrzysztof Szumanskiは全てがぼんやりしてるので、地味な脇役でなら使い出があるかもしれないけど、上手でハンサム揃いのバリトン界では埋没。
南アフリカ人のJacques Imbrailoは、カーディフの歌コンテストでも賞をもらい、脇役ではそれなりに存在感を示して、「あ、今日はあそこにいる」と私も注目してたのですが、なんだか随分小粒で迫力のない助平伯爵でした。カプリッチョの作曲家役でもぱっとせず。貧弱ながら上半身裸にもなったのにね。
同じく南アフリカ人でこちらは黒人のVuyani Mlinde、一昨年のBrish Youth Operaでは目立ってたけど、このレベルの人たちの中に入ると劣って見えちゃいます。かなり黒い肌で得するとも思えないので、前途多難。
スリランカ人のKishani Jayasingheは、この中では一番有望と思われているようで、「愛の妙薬」のナンネッタや「フィガロの結婚」のバルバリーナなどの準主役もやってすでに確率してる人なので、私があまり好きな声質ではないけれど、さすがの歌唱力と肩の力の抜けた余裕たっぷりの振る舞いで、まろやかな声も心地よく、安心して観ていられます。
オーストラリア人のAnita Watsonは高音だけはきれいだけど、それだけ。デブがマリリン・モンローの格好しても見苦しいだけだしね。
南アフリカ人のPumeza Matshikiza、ドン・カルロの小姓役では私は全然良いと思わなかったけど、今日はまろやかでまあまあでした。でもすらっとして素敵だけど、この程度の歌唱力では、褐色の肌で主役は回ってくるかどうか。
一番良かったのはエストニア人のMonika-Evelin Liiv。張りのある私好みの声が響きました。トラヴィアータのフローラの時は貫禄もあってこの若手グループの一員とは思えないほと立派でした。
在籍2年なので、何人かはこれで終わって巣立ちますが、私のお気に入りの3人は残るので、まだ何度か観られます。来シーズンは中村恵理さんという日本人ソプラノも仲間入りするので、日本でも話題になるかもしれませんね。
このスキームについてもっとお知りになりたい方は→こちら
こちら をご覧下さい。
Mozart - Le nozze di Figaro, Act 4
Conductor Andrew Griffiths
Continuo Catriona Beveridge
Director Vera Petrova
Design Tanya McCallin
Lighting Simon Bennison
Susanna Kishani Jayasinghe
Barbarina P umeza Matshikiza
Contessa Anita Watson
Cherubino Monika-Evelin Liiv
Don Basilio Ji-Min Park
Conte Jacques Imbrailo
Figaro Krzysztof Szumanski
Bartolo Vuyani Mlinde
Strauss - Capriccio, Fugue, Duet, Octet
Conductor Richard Farnes
Keyboard Catriona Beveridge
Director T homas Guthrie
Design Tanya McCallin ? Figaro set Act III, concert dress
Lighting Simon Bennison
Grafin Pumeza Matshikiza
Die Sangerin Anita Watson
Clairon Monika-Evelin Liiv
Flamand Ji-Min Park
Der Tenor Haoyin Xue
Graf Kostas Smoriginas
Olivier Jacques Imbrailo
La Roche Vuyani Mlinde
Rossini - Il viaggio a Reims, Gran Pezzo Concertante
Conductor Richard Farnes
Director/Design Concert staging, concert dress
Madame Cortese Kishani Jayasinghe
Corinna Pumeza Matshikiza
Contessa di Folleville Anita Watson
Marchesa Melibea Monika-Evelin Liiv
Cavalier Belfiore Ji-Min Park
Conte di Libenskof Haoyin Xue
Don Alvaro Kostas Smoriginas
Lord Sidney Jacques Imbrailo
Don Profondo Vuyani Mlinde
Barone di Trombonok Krzysztof Szumanski